『論破できるか!子供の珍説・奇説』 松森靖夫 2002/02 著者は山梨大学教育人間科学部助教授。 こどもの直感的な疑問や思い込みに答える本。 「ビルの屋上が暑いのは太陽に近いからだね」という子供の疑問。 太陽からの距離からするとビルの高さなど誤差のようなものだし、高い山の上は涼しい。実際大気の温度は100mごとに0.6℃下がる。屋上が暑いのは太陽光で屋上面が熱せられているからだ。 似た疑問で「夏は地球が太陽に近付くから熱いんだね」というもの。 北半球では冬に公転の近日点、夏に遠日点となり、夏の方が太陽から遠い。季節変化は太陽の高さ(角度)、南中高度の違いによる。 「食塩水を作ってしばらくすると、底の方が濃くなるよ。味噌汁だってそうだし」という誤解。 そういえば砂糖を入れたコーヒーも底の方が甘い・・?これは砂糖が溶け残っているため。温度や圧力が変わらない限り、溶けたものが下にたまることはない。味噌汁で底にたまっているのは、溶けていない成分。 「金魚は苦しくなると水面で口で息をする」という誤解。 あれは酸素の多い水面の水を口から入れているだけ。空気呼吸ではない。一方ウナギは皮膚呼吸で空気から酸素を取り込むので地上でも長時間生きられる。 「お湯から昇っている白い煙が水蒸気」という誤解。 これはよくある話。見えるのは水滴で水蒸気は見えない。同様に雲は水蒸気ではない。最近では煙突から湯気を出すと苦情が来るので、排出前にバーナーであっためて水蒸気にすることもある。ムダなことを。 「学校で唾(つば)は消化液だって習ったけど、ママは指を切ると舐めてるよ」というもの。 唾液が傷を治すなどということは教科書に書かれていない。しかし動物実験で舐めることに治療効果があることが『ネイチャー』に報告されている。「舐めときゃ治る」は真実だった。
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