北 杜夫さんの「マンボウ 最後の大バクチ」に出てきた
新潮社の辣腕編集者、「猛獣使い」ことペコちゃんと
彼女のパートナーであるハードボイルド作家をモデルに書かれた本です。
調べてみたところ、このハードボイルド作家は白川 道さんで、
ペコちゃんは新潮社で現在「新潮社」出版部部長を担当されておられる、
中瀬 ゆかりさんのようです。
「マンボウ 最後の大バクチ」で、北さんが何度もこの本を登場させ、
ペコちゃんに「本当の話なの?」と確認していたので
気になって読んでみました。群 ようこさんの本を読むのは久しぶりです。
編集者の嶋田 ひかりは 31 歳バツイチ。
声が大きく明るい女性で、仕事はできるけれど、何故か男とは長続きしませんでした。
そんな彼女が、ある出版社のパーティで、ハードボイルド作家の緑川 郷に出会います。
刑務所に入ったこともある強面の緑川を、最初は遠くから眺めていたひかりでしたが
彼の屈託ない明るい笑い声に惹かれ、流れで同棲することになりました。
ところが、彼のことを深く知っていくうちに、
緑川がとんでもないギャンブラーであることが判明します。
競輪、麻雀、競馬・・・。勝つときは派手に勝つけれど、負けるときも派手。
2 人で数千万円の年収があるのに、借金が雪だるま式に膨らんでいくのでした。
読みやすい小説で、数時間であっという間に読んでしまいました。
この後まだ、他の本が読める余力があったほどです。
読んでみて思ったのは、恋愛と結婚はよく分からない、ということです。
冷静に考えたら、こんなギャンブラーやめておけ、と思うのですが
実際こんな人が身近にいたら、人生オモロイので、付き合ってしまうかもしれません。
私にしたって、傍から見たらなんでこんな夫と一緒にいるのか分からない
と思われているかもしれないので、
男女が一緒にいる理由って、ホント、何なのだろう?と改めて分からなくなりました。
他のことなら、いろいろと理屈で考えられるのですが
人間関係だけは、本当にダメ。理屈とか理論とかが通用しません。
ギャンブルに狂うダメな作家と、自身もギャンブル好きなのに、
彼の負け方に驚愕し、やきもきしながら彼を見守るパートナー。お似合いです。
Amazon のレビューでも、星 5 つがついています。
自分のことじゃなければ、微笑ましく見守っていける、
人間だもの、そういうこともあるよね、と思っていられるお話です。
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