村上宣寛/著
出版社名 : 筑摩書房(ちくま新書 802)
出版年月 : 2009年9月
ISBNコード : 978-4-480-06505-6
税込価格 : 861円
頁数・縦 : 285p・18cm
心理学とはどういう学問なのかを説くために、7つのテーマに絞って、心理学で何が分かっているのかを概説した書。
【目次】
第1章 心理学とは
第2章 人柄は遺伝で決まるか
第3章 人間は賢いか
第4章 意識の謎
第5章 記憶は確かか
第6章 人と人の間で
第7章 異常な世界へ
【著者】
村上 宣寛 (ムラカミ ヨシヒロ)
1976年京都大学大学院修士課程修了。現在、富山大学人間発達科学部教授。認知心理学の研究、統計分析、性格測定に関するプログラム開発、評論活動に従事。
【抜書】
●ビッグファイブ(p59)
性格の5つの基本的次元。
外向性
協調性
良識性
情緒安定性
知的好奇心
●心の理論(p104)
1978年、プリマックとウッドラフらの論文「チンパンジーは心の理論を持つか」という論文で初めて使われた用語。
「人は、精神状態を自分や他人のせいにするなら、心の理論を持つ。そのような状態は、直接観察できないので、この種の推論を理論と考えるのが正しい」。
〔つまり、「心の理論」とは、自分や他人の心の状態を理解する能力のことで、「理論」の細部まで規定した用語ではない。〕
●ゾンビ・システム(p125)
〔無意識的な行動システムをゾンビ・システムと呼んでいる。ゾンビ・システムは、かなり複雑な行動も自動的、無意識的に実行する。例えば、歩いたり、走ったり、会話をしたりする筋肉の動きは、無意識的で、自動的である。いったん、歩くことを意識化すると、スムースに歩けなくなる。〕
●自由意志(p133)
〔 意識を伴った意志は、行為など他の活動と同様に、それに先立つ脳活動の結果にすぎないと考えている研究者が多い。前野も意識は無意識のゾンビ・システムの結果を受け取るだけであるという。一方、リベット自身は、意識を伴った意識(ママ。意志?)の意義は、無意識に起動された自発的行為が現れるのを制御することにあるという。〕
前野……前野隆司。『脳はなぜ心を作ったのか』筑摩書房、2004年。
●記憶力(p161)
いくら記憶の練習をしても記憶力は鍛えられない。
〔 一八九〇年にウィリアム・ジェームズは、詰め込みが非常に悪い学習法であり、その理由は、数時間で一つの目的のために学んだ事柄は、心の中の他の事柄と多くの連合を構成できないために、忘却が急速に起こるからであるという。〕
(2013/11/16)KG
〈この本の詳細〉
honto: http://honto.jp/netstore/pd-book_03159006.html
e-hon: http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032305347