* ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (One Good Turn), ヴィトルト・リプチンスキ, 春日井晶子, 早川書房, 9784150503666
この1000年で最高の発明は何か。こんなテーマで身近な道具の探索を推し進める、エンジニア系の読者にとってはちょっと楽しいエッセー。
著者は、身近な道具を眺めまわしながらいろいろと考察や調査を行うのだが、案外に多くの道具や技術が、1000年以上前に考案されている事実に驚く。そして読者もそれを突き付けられて驚くわけだ。このミスマッチ感が楽しく、最後まで一気に読み進めてしまうのだ。そしてそれは、あるとき天才(といっていいだろう)のたぶんちょっとした思い付きで、現実のものとなる。このくだりなど、読んでいてぞくぞくする。
しかしそれにしても、西洋(ヨーロッパか?)の史料保管状況には驚かされる。500百年以上前の技術書(そのとおり、技術書だ)が、たとえそれが私家版であったとしても、正式に図書館の蔵書として管理されていて、ちゃんと図版の引用ができるようなクオリティで保管されているのだ。
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