猪瀬直樹(著)
戦前にあった総力戦研究所の一期生達の研究成果(模擬内閣)と当時の内閣がたどった道を記した本である。
30歳代の研究生による模擬内閣がシミュレーションした結果、日米開戦に追い込まれ、やがて敗戦を迎える。
東條英機陸軍大臣(当時)もその研究発表を聞いていたそうである。
だが、やがて首相となり、シミュレーション結果を再現していったのである。
個人的には、なぜあのとき米国と戦争をしなくてはいけなかったのか、米国と戦争してなにをしたかったのかが理解できていなかったのだが、この本によると、
米国に石油や鉄くずの対日輸出を禁止されたので、 蘭印(インドネシア)に石油や鉄鉱石を捕りに行くためのシーレン確保する。
ということだったらしい。
著者によると、世論(マスメディア)は開戦(軍)を支持していたそうである。
その状況で米国側の条件を飲むには、自国を三等国にした責任を負う人が必要だと思うが、そのような人がいなかったのであろう。
そのため、勝つ見込みがない戦争に突入していった。
敗戦後のマスメディアは、軍部が国民をだましたと主張し、国民も受け入れた。
軍部を他の単語で置き換えてみれば、21世紀になっても同じ論法を繰り返しているように感じる。
↧