『中国の「反日」で日本はよくなる』 宮崎正弘 2013/03 著者は評論家、作家。 中国の「反日」への反動で日本が正常な方向に向かうという本。 習近平の背後で戦略を提言しているのは劉源。毛沢東のライバルだった劉少奇の息子で陸軍大将。 失脚した薄熙来は太子党で習近平の兄貴分。 円高は弱い企業、地方を切り捨てる政策である。空洞化で地方の工場を海外移転しても東京の本社は残る。地方だけが疲弊する。 産業競争力会議は規制改革とTPPだけが要望され、アベノミクスのガンになるおそれがあるという。 中国のGDPは48%が住宅投資で、不動産バブルが瓦解すると、日本に抜かれることもありうる。 中国の工場ではストや暴動が頻発している。その理由の一つが「日本からロボットを入れたから」。日本から大量の精密加工ロボットが導入されるようになり、労働者の雇用を脅かしているのだという。 ある試算では、日中貿易が全面停止した場合の日本のGDPへの影響は-0.45%だという。 中国は「共産党主義」経済である。高級幹部が腐敗しやすい構造になっている。 腐敗や貧富の差で世の中が終末観に彩られる中国では新興宗教が流行っている。その一つが「全能神」。1960年代に米国からやってきた新興キリスト教団の分派で、共産党は敵と主張する。怪しげな教義、セックスと暴力が宗教活動の中心で、信者から上納金を取り上げるという。1983年に中国政府から「邪教」と認定された。 中国の影の銀行の実態はポンジ・スキーム(ねずみ講)。 尖閣の衝突で緊張感がもたらされることは、日本の精神衛生上このうえなくよいことだという。 極東シベリアでロシア人の人口が激減し中国人移民が増えている。プーチンは中国の驚異を希釈するために、日本の経済力を活用して極東開発を進めようとしている。北方領土の全島返還もありうるという。
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