独裁者の妻と愛人の歴史。
普通の人格障害者でも周囲を不幸にするのに、精神異常者の局地に居るような独裁者に関わって幸せになるわけは無いのだが、その中でも(比較的)マシな人生を送った人や、独裁者のせいで人生が台無しになった人、自業自得の人など、いろいろな人が居て非常に興味深い。
【目次】まず、最初に誤解を解いておくと、独裁者というのは非常にモテる。 「良心をもたない人たち」を読んでもらうとわかるのだが、サイコパスの肉食的な瞳は男女を問わず人を引き付ける。 加えて、本書に出てくる独裁者はどん詰まりで国を継承した金正恩などとは違って、絶頂期ともいうべき時期を過ごしているので、人気が出るのも当然だ。 で、そうした独裁者に関わる女性はおおきく分けて3パターン。 一つは、独裁者がまだ目の出ない頃に見初められて結婚するが、男が偉くなるに連れ愛人の数も増えて苦労するというパターン。ムッソリーニ・レーニン・毛沢東などにはこのタイプの女性が存在した。 このタイプは苦労はするし、良い人生を送ることは出来ないが、最悪のパターンは免れていることが多い。 二つ目は、独裁者となった男に惹かれて愛人や妻となった後に他の愛人との戦いを勝ち抜くパターン。有名なのはヒトラーの愛人であるエバ(エーファ)・ブラウンあたり。 このタイプは基本的に独裁者と運命を共にするので、不幸な最後を迎えがちだ。 そして最後は自分自身が野望を持って独裁者に近づいていくパターン。エレナ・チャウシェスクや江青がこのパターン。独裁者への愛情は程々で、自分の欲望を満たすために動いている。 独裁者よりも早く死ぬならば意外と幸せな人生なのかもしれないが、本書で取り上げられている上記2名はどちらも悲惨な最後を迎えている。 分厚い本だが、歴史が好きならスラスラと読めるはず。 一風変わった列伝だと思って読めば、非常に面白い。 個人的には、これから女性の企業経営者や国家の首脳が増えてくるに連れ、本書の男性版「男と独裁者」が見てみたい。本書で見られるのは女性の傾向なのだろうか?それとも、独裁者を愛する人は男女問わず同じ傾向が見られるのだろうか……。 ☆☆☆☆☆(☆5つ。満点) 他のBlogの反応はこちら。 http://neto.blog10.fc2.com/blog-entry-8452.html 書評は少ない。 そんなに悪く無いと思うのだが、専門的な人や独裁者に興味がある人には何をいまさらなないようなのかもしれない。
1 ベニート・ムッソリーニ―ドゥーチェの甘い生活
2 レーニン―赤いトリオ
3 アドルフ・ヒトラー―欲望という名の総統
4 スターリン―恋と栄光とダーチャ
5 毛沢東―虎視眈々と漁る男
6 エレナ・チャウシェスク―奢侈、静けさ、秘密警察