年齢も作風もちがう作家の作品をつづけて読んだのだが、どことなく共通点があるような気がする。どちらもそろそろ刑事勤務がつらくなってきたような警察官と、年下の女性がからんでいる。刑事という職業の金属疲労というと、ウォンボーが思い出されるのだが、そんなに深刻でもない。若者への共感――というと言葉が悪い――そこはかとない思いやりが流れているのも、共通するような気がする。父親っぽい男は、ともすればセクハラにつながるのだが、どちらの警官も純情(?)だ。こまかい部分がよく書けている小説は、読んでいてうれしい。それに、読後に嫌な感じが残らないというのは、エンタテインメントではだいじなことではないだろうか。
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