イギリスの港町ブリストルでハリー・クリフトンは育った。
父は幼いときに死に、母がウエイトレスとして働くかたわら、同居しているおじが一家の稼ぎ頭だった。
おじは港湾労働者で、ハリーはおじさんと一緒に港へ行くのが大好きだった。
うち捨てられた客車に住む、謎の老人オールド・ジャックと話をするのも大好きだった。
貧しい家庭のハリーは、大きくなればおじと共に港で働くと誰もが思っていた。
だが、ハリーには類い希なる才能があった。
それは聞く人をうっとりさせる美しい声の持ち主だった。
その才能が認められ、聖歌隊の奨学生として有名な寄宿学校に入学することになる。
その学校バリントン家の長男ジャイルズと親友になる。
ジャイルズの父ヒューゴはなぜか息子の親友のハリーに冷たく接するのだった。
◇ ◇ ◇
ジェフリー・アーチャーが言うところのサーガというタイプの波瀾万丈の物語です。
サーガはアーチャーが最も得意とする分野で、主人公が困難にもめげず、努力と才能でのし上がっていくというのが大方の内容です。
ハリーも経済的ハンディを背負いながら、持ち前の頭の良さと周囲の手助けでやがてはオックスフォードの給付生になります。
波瀾万丈といっても、だいたいこうなるんじゃないかと予想されるところは多々ありますが、なんと言ってもジェフリー・アーチャーなので、ページがどんどんめくられていきます。
主人公のハリーが有名な寄宿学校へ入るシーンは、ハリー・ポッターが魔法学校に入学するときを彷彿させました。
(同じはりーなのは偶然でしょうか)
初登校したその日に、大食堂に集まって豪華な食事をとるところなどそっくりでした。
上下巻ありますが、第一部とあるように、まだまだハリーの物語は続いていくようです。