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◆哲学者にならない方法◆

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哲学者にならない方法

哲学者にならない方法

  • 作者: 土屋 賢二
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2013/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
以前、このブログで、 お茶の水大学の哲学科の名誉教授、 土屋賢二先生がたまらなく好きと書いたけれど、 これは、その土屋先生が、 なぜ哲学の道に進む事になったのか、 その理由が綴られた自伝的な本。 長年の土屋先生のファンである、 私のような者にしたら、 この本を読みながら、胸のときめきが止められない。 いや、ときめきとはちょっと違うか、 とにかく、いつも人をおちょくったようなエッセイばかりの先生が、 初めてまとまってご自身の事を書かれたのだから、 興味を持てないわけがない。 まず出だしは、 東大の入学式に出席するために、 先生とご両親が、 岡山から13時間もかけて上京してきたところから始まる。 けれど、その入学式も、 先生らしい笑えるエピソードで、 結局、出席できずに終わる(笑)。 そして始まる大学生活。 最初は漠然と、官僚になろうと決めていた先生が、 寮生活や、ドストエフスキーに出会って、 次第に哲学に興味を持つ過程が描かれる。 先生の生い立ちについても、 結構なページ数で書かれているけれど、 「この環境があの先生を作ったのか」と思うと、 興味深くて、夢中で読んでしまう。 小学校しか出ていないご両親の願いは、 子どもが自分の力で生きていくという事だけで、 東大に入れようとか、そんな気持ちは まるでなかった事が分かる。 お父さんとお母さんの、 家庭での在り方も、めっちゃ面白い。 詳しくは書かないけれど、 あの時代には、珍しい事だったんじゃないかなぁ。 大学時代、今や伝説となった、 「東大駒場寮」で暮らしていたという先生。 駒場寮については、 多くのかたが、文章その他で描かれているけれど、 この本を読むと、 それらの事が、「やはり本当だったんだ」と再確認できる、 凄い状態だったようだ(笑)。 駒場寮の記録としても、 貴重な一冊になると思う。 私のような者が、 先生について分かったような事を言うのは、 とても恥ずかしいけれど、 ほんの少しだけ、 先生を知る事ができたのが嬉しい。

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