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死とは何なのか、考えずにはいられない【悼む人 下】

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悼む人〈下〉 (文春文庫)

悼む人〈下〉 (文春文庫)

  • 作者: 天童 荒太
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/05/10
  • メディア: 文庫
■ヒトコト感想
上巻の流れから大きくはずれることはない。人の死を悼む静人と、それに影響される人々。死とは何なのか。上巻で登場した時点では、他人を思いやる心など何ひとつ持ち合わせていないような男が、下巻では大きく変わっていく。静人に影響される人々が詳細に描かれている。心に大きな変化を見せる蒔野。末期がんに苦しむ巡子。そして、静人と旅を続ける倖世。それらすべてが心に大きな変化をもたらすことになる。

読者は静人の行く末を見守り、心の中で理想的な結末を思い浮かべることだろう。そのどれも裏切るように、次々と決着がついていく。人の死を扱う場合、悲しみを伴うのは当然だ。本作は、死を悼む静人の心のうちが語られていないだけに、読者はそれを想像するしかない。

■ストーリー

「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」。静人の問いかけは彼を巡る人々を変えていく。家族との確執、死別の葛藤、自らを縛りつける“亡霊”との対決、思いがけぬ愛。そして死の枕辺で、新たな命が…。静かな感動が心に満ちるラスト。


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