まずはAmazonさんの紹介ページから。 新幹線の車中、中原正弘弁護士の隣席の男が、「早くしないと妹も…」という謎の言葉と、 ポケットから取り出した朱いアカベの花を残して悶死した。その花が日本で唯一自生する南海の孤島・恩根島。 そこは、徳川幕府によって廃藩、遠流の憂き目にあった喜多川一族が怨念の習俗を今に伝える地でもあった。 折しも、二十年に一度だけ開花し、その時必ず不吉な事件が起きるというアカベが咲き乱れる島で連続殺人が! 幻奇島、南神威島に続く、西村京太郎版「孤島」シリーズです。 三部作と言っても良いのかも知れませんが、 とにかくこの島シリーズはその島独特の風習が非常に強く押し出されています。 確かに余所者から見れば、彼らの行っている行事や習俗は異形なものに 見えるかもしれません。 しかし、案外こうした異形、異質なものは身近にも普通に潜んでいるものなのです。 本作で探偵役を勤める中原弁護士は殺人事件の真相を見事に看破しますが、 一方で、この島の習俗を完全に否定している訳ではないと思います(私見ですが) 彼がビンに入れて流したメモがそれを物語っているのではないでしょうか。 西村御大には、またこうした作品をぜひとも書いてもらいたいですね。
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