2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2527ページ
ナイス数:30ナイス
甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯の感想
伝説の打撃コーチ・高畠導宏さんを描いたノンフィクション。当時子供だった私は,現役時代の実績が乏しい高畠さんが長くコーチを務めていることが不思議でした。しかし本書を読み,多くの名選手達の陰に高畠さんがいたことを詳しく知りました。「打撃とはこうあるべきだ」という確固たる理論を持っていても,それを選手に押し付けることなく,敢えて欠点を直そうとせず長所を伸ばそうとする「高畠理論」は,スポーツにおけるコーチングのみならず,すべての教育に共通する理想の「教育理論」なのだと思います。球界は惜しい人を失いました。
読了日:8月31日 著者:門田隆将
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 8/27号 [雑誌]の感想
特集はエジプト。シシ将軍に関する記事は精力的な取材に基づいて書かれたものだが,このベールに包まれた独裁者の人間像はまだはっきりとしない。特集以外で印象残ったのは,ロバート・キャパとゲルダ・タローの写真。沢木耕太郎さんが今年発表した「キャパの十字架」を読みたくなった。福島の記事では,在日米軍を撤退させることによって東アジアの軍事バランスが崩れても構わないとアメリカが考えていたという事実に驚いた。同盟関係なんて所詮その程度のものであり,好むと好まざるとにかかわらず,自国は自国民で守るしかないということだろう。
読了日:8月30日 著者:
日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)の感想
池上さんらしい,起承転結の効いた構成の,初学者向けの本です。日銀という組織とその役割を論じることを通じて,金利水準の決定が経済にどのような影響を及ぼすのかが,大変わかりやすく,そして丁寧に説明されています。この本でさえ難しいと感じる方もいるでしょうが(何を隠そう私もそのひとりです),読後に何かを学べたという感触さえあれば十分だと私は思います。本書は,私たちの「はじめの一歩」として素晴らしい役割を果たしてくれるでしょう。関連書籍を読み続け,少しずつ知識を積み重ねてゆくことが大切です。焦らず,焦らず・・・
読了日:8月25日 著者:池上彰
そうだったのか! 中国 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)の感想
池上先生の「そうだったのか!」シリーズをこれで完読しましたが,他のシリーズに比べ,本書は内容があまりにも陰鬱であり,どうしても早く読み進めることができませんでした。本書は2007年刊行の単行本を2010年に再編集したものですが,中国を知るための入門書としては今でも絶好の参考書のひとつです。中国の抱える問題の原因が,ほぼ全て非民主的な国家運営にあることを浮き彫りにしています。中国の方には大変申し訳ありませんが,隣国としては極めて厄介な存在であることを再認識しました。
読了日:8月20日 著者:池上彰
正々堂々と「公共事業の雇用創出効果」を論ぜよ―人のためにこそコンクリートをの感想
ここまで清々しく公共事業の重要性を解いた本に巡り合ったのは初めてのことでした。研究者というだけでなく,物書きとしての著者の力量の高さを強く感じる一冊でした。
読了日:8月20日 著者:藤井聡
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日の感想
死の淵を見た男「たち」の闘いを描いた,迫真のノンフィクション。「戦争を経験した大正生まれの人々を『他人のために生きた世代』,そして現代の日本人を『自分のためだけに生きる世代』」と著者は最後に表現したが,吉田所長以下,福島第一原発で戦った人々はまさに「他人のために生きた」人々である。事故を未然に防ぐことができなかったことは大いに悔やみ反省すべきであるが,現代の日本人の中にも,絶望的な場面において利他的に生きるメンタリティが今も棲みつづけていることを改めて確認できた。多くの人に薦めたい,感動の一冊。
読了日:8月16日 著者:門田隆将
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 8/20号 [日本を極める]の感想
特集は「日本を極める」。日本文化に深く傾倒している外国人に関する記事は興味深い内容ではあったものの,特に新鮮味はなかった。「外国(人)から見た日本」を知ることは大切だが,若干食傷気味。私はNewsweek誌に対して国際情勢の新鮮な情報提供を期待しているので,日本関係の特集号に対する満足度はどうしても下がってしまう。特集以外では,がんの重粒子線治療に関する広告記事に珍しく興味を持った。患部をピンポイントで攻めることができる治療法として注目されているが,その施設が体育館級の大きさだったとは!!
読了日:8月15日 著者:
プロ野球スカウトの眼はすべて「節穴」である (双葉新書)の感想
90年後半のスワローズ黄金時代を支えた名スカウト・片岡宏雄さんの著書です。アマ選手と球団の間の裏金のやりとりを暴露するなど,選手獲得競争のインサイド・ストーリーを生々しく描いています。プロ球団にとって極めて重要なスカウトという仕事が,もっと評価されるべきであることを再認識しました。著者も指摘しているように,現在は「育成枠」という魅力的な制度があるのですから,スカウト諸氏には是非,プロで活躍することを夢見る野心的な若者を数多く発掘してもらいたいと思います。日本プロ野球の人気復活の鍵は,必ずここにあります。
読了日:8月15日 著者:片岡宏雄
聴くだけ世界史(古代~近代へ)の感想
文字は読まずに2回聴きましたが,「政治経済」とは違って全然頭に入りませんでした。歴史を理解する(覚える)には,ヨコの糸とタテの糸を紡ぐような作業が必要です(それが歴史の受験勉強の難しいところです)。しっかり読みながら何度も聴き返すことにします。歴史を学ぶこと自体は楽しいのですが,歴史の受験勉強はそれほど楽しいものではないなぁと,かつて地理を選択した理系人間の私は思います。しかし,歴史を学ぶ機会をみすみす失ってきたことを今更ながら後悔していますが・・・。
読了日:8月9日 著者:植村光雄
メジャーで勝つ―日本人ピッチャーの心技体 (ベースボール・マガジン社新書)の感想
この本のターゲットは,野球ファンではありません。将来,メジャーリーグで投げることを目指している人に向けて書かれたものです。実質100人にも満たない?と思われる読者に捧げられた本だと思うと,天晴れベースボール・マガジン社!凄いぞベースボール・マガジン社!と叫びたくなります(笑)。さらにこの本,ライターさんが書いたものではないような気がしました。プロの文章ではないと思われる箇所が随所にありましたが,もしこれが長谷川さんご自身の文章であれば,さすがに秀才と噂される方だけのことがあります。
読了日:8月9日 著者:長谷川滋利
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 8/6号 [3Dプリンターが創る未来]の感想
特集は3Dプリンタ。インクジェットプリンタのように素材を吹き付けながら成型する3Dプリンタの長所は,何といっても成型の自在性と精度の高さにある。私は10年近く前に3Dプリンタのデモに立ち会ったことがあるが,あの頃は吹き付け素材には樹脂しかなかったと思う。それが今やアルミと同程度の強度を持つ素材も使えるようになり,その用途と実用性は飛躍的に上がった。「(3Dプリンタを取り巻く)雰囲気は70年代のパソコン革命初期に少し似ている」と記事にはあったが,それも大袈裟な表現ではないかもしれない。
読了日:8月6日 著者:
聴くだけ政治・経済の感想
読んでません。通勤中の車の中で付録CDの音源(MP3)を聴いただけです。しかし,聴くだけでも8時間掛かります。おじさんになってから高校の勉強をやり直したいと考えるようになった私にとって,この本はまさに長きにわたって求めていたものです。もちろん,聴いただけで多くを覚えられるわけではありませんが,高校の政治経済の内容を大まかに把握するには絶好の参考書であり,音源です。一度聴き,二度目は読みながら聴き,そして三度目以降は聴き続けようと思っています。別のシリーズ(日本史や世界史,倫理)も購入予定です。
読了日:8月3日 著者:大塚哲
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2013年8月の読書メーターまとめ
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