Quantcast
Channel: So-net blog 共通テーマ 本
Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

たんぽぽ娘

$
0
0

たんぽぽ娘 (奇想コレクション)

たんぽぽ娘 (奇想コレクション)

  • 作者: ロバート・F・ヤング
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



評価:★★★☆

評価は★3つ半なんだけど、表題作だけなら★4つあげてもいい。
やっぱり名作だ。

表題作である「たんぽぽ娘」。
もう30年以上前に、一度読んだことがあるはずなんだけど
全然ストーリーを覚えていないと思っていた。

でも、読んでいるうちにだんだん思い出してきたよ。
やっぱりそれくらい印象的な物語だったんだね。


二十年間連れ添っている妻が、陪審員として召喚されてしまったので、
二週間の夏の休暇を、一人で過ごすことになったマーク。

ある日、丘の上で出会った、たんぽぽ色の髪をした娘。
ジュリーと名乗るその女性は、未来から来た存在だった・・・

親子ほど年の離れたジュリーと、毎日丘の上で語り合っているうちに
次第に彼女に惹かれていくマークだったが・・・


SFという舞台(タイムトラベル絡みが多い)で、ラブ・ロマンスを語る、
ロバート・F・ヤングという作家は、アメリカより日本の方が人気が高いらしい。
同様にこの表題作も、日本で海外短編SFのベストテンを募れば常に上位に入るのに
向こうではほとんど埋もれてしまっているとのこと。
このへん、日米の読者の好みが分かれていて面白い。

私ももちろん、この作品は大好きだ。
ハインラインの「夏への扉」や
梶尾真治の「クロノス・ジョウンター・シリーズ」が好きな人なら、
絶対楽しめる作品だと言っておこう。

ただ、この作品集に収められた他の作品については評価はかなり異なる。

表題作以外では「ジャンヌの弓」が出色の出来かな。
それ以外で「これいいなあ」と思ったのは
「河を下る旅」「エミリーと不滅の詩人たち」「主従問題」
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」(目次順です)あたり。

他の作品は、私の好みに照らすと今ひとつの印象。

ヤングの、日本における独自の短編集に
本書と同じ編者による「ジョナサンと宇宙クジラ」(ハヤカワ文庫)があるが
(じつはもう1冊あるんだけど未読なので)
あっちの方が私の好きな作品は多かったかな。
ちなみに「ジョナサン~」でいちばん好きなのは「リトル・ドッグ・ゴーン」。

編者によると、さらに「第三短編集」も予定されているらしい。
何年先になるかわからないけど、期待して待ちたいと思う。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

Trending Articles