東日本大震災から2年が過ぎた宮城県の仮設住宅で発生
した殺人事件を警視庁の刑事と新聞記者が真相を探る
物語です。
作者は、震災当時から被災地を訪れたこともありノンフィクション
小説ではあるがかなりリアルな内容で読者を引き込みます。
宮城県の県庁職員が東松山町の仮設住宅で毒殺された。
男は地元民からの信望が厚くひとから恨みを買うような
人間ではなかった。
そして、やがて明らかになる震災を食い物にする組織の存在。
低所得者やホームレスや派遣切りの労働者を支援するNPO
などの組織が被災地へボランティアなどを派遣するときに
バス等をチャーターするために人権支援団体に資金援助の
申請を行う。
申請は書面で行われ実態は申請通りに実施されたかどうか
確認がとられないという抜け穴が存在した。
そして、差額がでれば申請した組織のふところに金は入る。
被災者以外の人間が震災直後に避難所に入り罹災証明書を
受け取り義捐金を騙し取るということも存在した。
この物語を読んでいくと満更ウソでもないことが書かれている。
善意の活動がやがて効率の良いビジネスに豹変していく姿が
見える。
貧困ビジネスなども一例である。
震災から2年、当事者でなければわからない苦労がそこにはまだ
あるらしいが当事者意識のない私にはわからないことを知らされる。
共震とは、震災のことに従事するひとはひとりではなく
まだ共に震えてくれるひとがいるという意味らしい。
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読書を楽しむ「相場英雄 共震」
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