内容(「BOOK」データベースより)先日、伊藤左千夫『野菊の墓』をご紹介したが、同様にTBSラジオの番組で紹介された名作として、科学小説の父と言われたフランスの作家ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』も図書室で借りて読んでみた。夏休みの読書として、小4の次男に先ず読ませるつもりだったので、何とか読み終わらせた後、ついでに自分でも読んでみたという次第。 僕らが小学生だった頃、学校の図書館では結構目立っていた作品だが、実を言うと読んだことが一度もない。読みそびれて50の大台を迎えてしまったのに、我が子にはそれを読ませようというのだから虫のいい話だ。ラジオ番組で聴いてあらすじだけは掴んだつもりだが、子供に読ませる以上自分も読んでないのは示しもつかないと考えた。 舞台は今から150年前の南太平洋。停泊していた港から、縄がほどけて子供だけが乗船していた状態でスルギ号は流されてしまった。流れ着いたのはどこかもわからぬ島。周囲を探検してどうやらそれが大陸の一部ではなく無人島であることを知る。やがて少年たちはこの島に「チェアマン島」と名を付ける。本書は、島における15人の少年たちの協働、仲間割れと関係修復などが描かれる。そして、無人島だと思っていたチェアマン島に、他にも犯罪に手を染めた上陸者がおり、少年たちはやがて対決を強いられる。無人島でどうサバイブしていくか、島から脱出するのにどのような準備をするか、大人である自分にとっても血が躍る話の展開となっている。 僕たちは、無人島というと、常夏でジャングルに覆われたイメージを勝手に抱いていたが、この作品で出てくるチェアマン島には極寒の冬もあり、少年たちは洞窟に閉じこもって春の訪れをじっと待つことになる。冬の訪れを見越して食材を蓄えるための狩猟や採集に精を出すところもリアルで、無人島がいつも夏であるわけではないということを改めて思い知らされた。 ベルヌの作品、もうちょっと読んでみたい気がする。
休暇で、楽しい6週間の船旅に出たはずの、8歳から14歳までの15人の少年。だが、彼らが乗った帆船スルギ号は、荒れ狂う嵐のために、2週間ものあいだ、太平洋のまっただ中を吹き流されていく。マストは折れ、帆がちぎれた。それでも、少年たちは舵を握り、大波と戦うのだった。朝、空が白みはじめ、突然、ひとりが叫んだ。「陸地だぞ」。漂着した地は無人島だった。彼らは力を合わせて生き抜かなければならない。島を何度も探検して地名をつけながら、いかだや住まいを作った。釣りや猟をし、リーダーを選び、争いを克服して、みんなで助け合った。だが、ある日、思わぬ出来事が…フランス、イギリスをはじめ、世界各国で愛読されてきた、血湧き肉躍る、冒険小説の傑作。
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『十五少年漂流記』
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