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上原善広「被差別の食卓」

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ベトナム旅行にKindleを持っていって、旅行中に本を読んでいる時間はないという結論に到りましたが、旅行にKindleを持って行ったので、Kindleを持っていることを思い出しました。 なので、溜まっていた電子書籍を。
被差別の食卓(新潮新書)

被差別の食卓(新潮新書)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/06/16
  • メディア: Kindle版
先日、タイガー・ウッズに「フライドチキンをごちそうするよ。」と発言したゴルフの選手が人種差別と批判されるニュースがあり、フライドチキンが黒人奴隷の食べ物だったと知ってびっくりした覚えがあります。 この本の著者は日本の被差別部落の出身者ですが、子供の頃から母が作った「あぶらかす」の料理が好きだったそうです。あぶらかすとは牛の腸をかりかりに揚げたものだそうですが、中学生になって一般の人は全く知らない食べ物だと知ったと言います。 そうした経験から、世界の差別された人たちの食べ物を食べに行った旅行記が本書です。 テーマは重いですが、おもしろく読むことができます。 まずはアメリカの黒人奴隷の食べ物。フライドチキンは、今でこそ肉の部分も使われていますが、もともとは白人農場主の捨てた鶏の手羽先や足の先っぽ、首を黒人奴隷が食べやすいようにディープフライしたものだったといいます。 その他、ナマズのフライ、ザリガニなどの南部の名物料理も黒人奴隷のソウルフードだそうです。 そしてブラジルの豚の内臓や耳などを煮込んだフェジョアーダ、ブルガリアとイラクのロマの食べ物。ネパールの不可触民の牛肉料理。日本の被差別部落の料理。 普通は捨てられる内臓を使ったり、油で揚げて腹持ちを良くしたものが多いようです。 人間の食生活はまずは気候風土の影響を受けますが、人間社会の構造を反映したものにもなっているということですね。

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