第57回江戸川乱歩賞受賞作。
単行本発売当時から気になっていて、
ようやく文庫化されましたので、早速購入しました。
Amazonでのレビューがあまり良くなかったのでどうかなあ・・・とは
思いつつ。
まずはあらすじ
都内に住む老人が自宅で惨殺された。奇妙なことに、遺体は舌を切断され、
心臓をズタズタに抉られていた。さらに、縁の下からは「不離怨願、あたご様、五郎子」
と記された呪術符が見つかる。なぜ老人はかくも強い怨念を受けたのか?
日本の因習に絡む、恐るべき真相が眼前に広がる!第57回江戸川乱歩賞受賞作。
酷評されるほどひどいとは思いませんでした。
まあ普通に読めましたが、以下雑感。
最後も一気に物語が解決しますが、ここはあっけないというか、
終わり方としてはどうなんだ、と。
半世紀近くにもわたって呪いを続けてきたのに、
あの終わりはどう考えてもおかしいだろう。
主人公とヒロインの過去が途中挿入されるのですが、
それが分かりづらい、かつ中途半端なため、何が言いたいのか
いまいち分からず。取って付けた感じです。
怪奇や幻想といった非科学的あるいは非合理的な面(呪術)
と合理的な面(現実の殺人)の組み合わせは
いかに整合性や両者で合理的なロジックを作るのか、
あるいは非科学的な側面もかなり残しつつも、
現実に起きた事件は合理的に解決するという、
まあいくつか方法はあると思うのです。
(上記整理は私の個人的見解です・苦笑)
本書はその二つを持ち合わせているわけですが、
どちらもうまく活かしきれていないのが難点かなあと
個人的には感じました。
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