「サイラス・マーナー」 ジョージ・エリオット作 土井治訳 (岩波文庫) 哀れな職工サイラス・マーナーの一生と、神の摂理を描いた物語です。 イギリスの女性作家ジョージ・エリオットの名作です。 岩波文庫から出ています。1988年の改版です。 1947年の訳に加筆訂正したものです。言葉使いに少し古さを感じます。
親友に裏切られ、泥棒扱いされ、婚約者まで失ったサイラス・マーナー。 彼はもう、人を信じることができない。信じられるのは、カネだけ。 故郷を離れて、カネだけのために働き続けて15年。 しかし、そのカネが、もし盗まれてしまったら? サイラスは絶望を味わいます。二度と立ち上がれないような絶望です。 しかしこのことがきっかけで、不思議にも彼の人生は変わり始めて・・・ サイラスの物語と並行して、大地主の兄弟の物語が進行します。 優柔不断な兄ゴドフリー。やくざものの弟ダンスタン。 一見サイラスとは何のつながりもないこの2人。 しかし彼らが、サイラスの人生に大きく関わって・・・ このあとの展開が、おもしろくておもしろくて。 後半に入ると、泣ける箇所もけっこうあります。 また、ジョージ・エリオットは、なかなか文がうまい。 ちょっとした比ゆに、女性ならではの繊細なセンスが光っています。 ところで、ジョージ・エリオットの代表作は、「ミドル・マーチ」。 この作品が、文庫本で読めません。新訳を出してほしい。 さいごに。(氷枕) 我が家は、今年もクーラー無しで過ごしてきました。 意外に重宝しているのが、薬局で買った氷枕です。 寝苦しい夜は、氷枕をして横になると、よく眠れます。↧