『痛みと鎮痛の基礎知識[下]』 小山なつ 2010/03 著者はウェブで「痛みと鎮痛の基礎知識」を運営。 痛みの原因などをまとめた本。 上巻は痛みの信号の神経伝達メカニズムなど専門的すぎるので省略。 痛みは脳で起こる現象なので、同じような身体的異常であっても、感じる痛みは人それぞれ。同じ人でもその時々で感じ方が変わる。 痛みは精神障害の一つとしてDSM(米の精神疾患診断マニュアル)に記載されるようになった。 頭痛の7~8割が緊張型頭痛。「はちまきで締め付けられるような鈍い痛み」。心労や疲労、寝不足、PC作業など、頭の周りの筋肉が緊張しすぎて血流が悪くなり老廃物がたまるのが原因。 偏頭痛は収縮した血管が拡張した時に起きる。三叉神経が関係している。 筋肉や関節は、酷使しても使わなさ過ぎても痛みが出る。「年をとると乳酸が溜まるのに時間が掛かるので、筋肉痛が出るのに時間が掛かる」というのは、全く根拠がない。 欧米に「肩こり」という表現はない。日本語の「肩」は、欧米では首あるいは胸部に含まれる。「首のこり」「僧帽筋の筋肉痛」と表現される。 こむらがえりの原因は、体液の電解質のバランスが崩れて、神経が興奮しやすい状態であること。カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質の補給が予防になる。 三叉神経痛は人が体験する痛みの中で最も強い痛みと言われる。 TVドラマでよくあるが、ハンカチに染み込ませたクロロホルムをかいでも、すぐに気絶することはない。ガスが漏れないようにしたマスクを使っても、麻酔がかかるまで10分程度必要。 最も強力な鎮痛剤はオピオノイド系でアヘンもその一種。紀元前3500年のシュメール人の粘土板にアヘンの製造方法が記されている。アヘンから抽出されたのがモルヒネ。プラセボ(ニセ薬)による鎮痛効果は、モルヒネの50%に及ぶと言われる。
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