阿川弘之の第3長編で、特攻隊に赴く若者の心情を日記形式で描きます。
阿川弘之は1942年に海軍予備学生として入隊し、終戦まで約3年間の軍歴があります。
本書の主人公は著者と同じく予備学生なので、小説ではありますが、著者の体験が色濃く出ているものと思われます。
同時代を生きたひとの小説だけあって、とにかくリアルです。
現在では極端に神格化されたり、また卑下されたりする特攻隊ですが、ここに描かれている隊員たちの姿は人間そのもので、このような状況、このような環境下にいれば、だれでも同じ選択をするようのだろうなあと思わせる重みがあります。
作中に、とにかく生き延びたいと思っている人物が登場します。その人物が、特攻に選ばれる前に、ふとした事故であっさり死亡します。
特別なことがなくても、敵の攻撃無くとも、普通にひとが死んでいく。
このエピソードに、戦争の苛烈さが現れていると感じました。
あの時代の空気を知る上で、大事な小説だと思います。
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