田中芳樹『中国武将列伝上』
作家・田中芳樹が独自のルールで清滅亡以前の中国の名将を100人選出。その解説を行う本。上巻では58人の人物が語られます。
日本では三国志のみが突出して有名で、他にも面白い話がいっぱいあるのにほとんど知られていない。その偏りに憤慨した田中先生が、出来るだけ時代の偏り無しに名将たちの面白エピソードをピックアップした本。という感じです。いやー確かに日本人全く知らないよね。そして三国志のみ、深すぎるほど愛しているよね。横山光輝のせいなの?コーエーのせいなの?
何故か語り口調、1人だけど対談集みたいな雰囲気で描かれる文体は、田中先生のお人柄が見えてなかなか興味深いです。すごくね、バランス重視する人。自分が好きでつっこみたーいって人物ばかりを描かないってことを常に念頭に置いてますね。
しかしそれでも多いからね。やっぱり1人1人はちょっと薄味。そして歴史的バックボーンが全く分からないからすっと入ってこない。時代時代の戦い方みたいなものが分かったほうが断然楽しめるのだろうけれど、そこまで説明できなくって歯がゆいって感じです。わかりやすい小説でも読もうかなと思いましたが、どうも選べないなあ。北方謙三”楊家将”は北方オリジナルらしいし。まあ、シバイを極Mにしちゃう人だから当然か。