18:16:39 asagaya 08/15/2013
晩夏のカヌー
瀧の林檎だって
林檎の瀧ださ
痛いでしょ当たれば
ていうかアブねえ
あんたは世界のなんなのさ
一部
ひとかけら
南北って朝鮮半島か
ベトナムもあった
みんな死んで
国境を越えて西に向かうよ
こんどは西け
東も出るじゃよ
方々
ここはどこニホン
地図だして
きみの検索
うち忘れられとる
季節感もないしセブンイレブンが
二十七時間テレビになって
消防署の坂道で
キスをした
なめたのはきみの歯だった
きみの歯は
まだ白くて輝いているか
そう思ったら
無数の林檎が落ちて来た
林檎の季節がわからない
三日前仏壇に林檎を供えた
なすもキュウリもマンゴーも
まぶしいオレンジもお供えしたが
林檎は不思議を感じるだろうか
あたしにはやって来ないものがある
そうして
晩夏の命に手を合わせ
鈴をうつ
あたしには来ない終焉の
まだうらわかい林檎だらけの瀧の下
南か
北かもわからない
いい加減かと思えば
そうでもない
そう云っては来ない来ないと
待っていた終焉の
意味がない
わかい林檎はささやいた
ほんの少し口を開け
ちょっとだけアングして
齧る
なめる
そのきみの一個
そんなあんたの一思い
いい加減かと思えば
そうでないだろ
林檎のこぼれる瀧の下の町に降り
道を交差する
愛を行進し
弦を咽喉でひく
味覚の記憶は少し薄れたけれど
あたしには来ない終焉の
晩夏のカヌーを
いま漕いでゆく