アーサー・コナン・ドイルの短篇傑作集、全5巻完結だそうです。今回は科学ネタを採用した短篇、今の分類だとSFと呼べそうな作品を集めています。ただし当時はそういう言葉がなく、科学ロマンスと呼ばれていたそうです。
この「科学ロマンス」という言葉の、絶妙な奥ゆかしさと古めかしさが素敵ですね。ヴェルヌとか『フランケンシュタイン』と同じ本棚に置きたくなります。当時まだ目新しかった科学や工学を巧みに取り入れ、人間同士のドラマと絡めた展開の手際よさにほれぼれしてしまいました。
表題作「ラッフルズ・ホーの奇蹟」も、作中で起きる事件そのものはとても伝統的なんですけれども、科学の粋を集めた大邸宅が新しい魅力を付け加えています。小学生の頃に考えた未来の家をそのまま小説化したようで大変わくわくします。
また、1914年2月発表の架空戦記もの「危険!」には驚かされました。潜水艦に詳しい方にはぜひ読んでいただきたい短篇です。細かい突っ込みどころはきっと多いのでしょうが、それより何より執筆のタイミングにびっくりですよ。
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