最近、何でもかんでも人並みにはできるようになれよと・・・とか人の欠点を修正しようとする風潮がみられます。
何でもかんでも平均点以上はとらないといけない。マイナスがあってはいけないと・・・ マイナスがあればそれをプラスに、少なくともゼロにするということです。
でもそんなこと考える暇があるのならやりたいことや長所を伸ばすべきだと思います。
なんでもかんでも平均的にこなす人間ばっかり作ってどうするのでしょうか。
サイボーグ009という漫画があります。例えば002はとても早く移動できる。003は聴力などにすぐれている。こんなふうにそれぞれ個人個人特徴がある。
お互いに助け合って困難を克服していく。野球も足が速い一番バッターがいて、小細工が上手い二番バッターがいる。長打はないが絶妙のバットコントロールをもつ安打製造器の3番がいる。守備はあんまり上手くないが3割30本をうつ四番バッターがいて、打率は高くないが一発長打が魅力の五番バッター、ここぞというときに渋いヒットを打つ勝負強い粘りの六番バッターがいて、みんなが打てないときにドカーンと一発ホームランを打ってくれる七番バッターがいる。打撃はそれほどでもないが守りで超美技をみれてくれる八番バッターがいて、九番ピッチャーとなっている。こんなチームのほうが、一番から九番までイチローだけとか、松井だけを並べたチームより魅力的に感じるのは、それぞれの選手に個性がありみんな違うからじゃないでしょうか。
これは「人が社会に貢献する」という視点で考えてみたらわかりやすいと思う。
人は自分がもっている「強み」によって社会や会社に貢献できるのである。マイナスをゼロにしたってゼロでしかない。
私が迷った時や悩んだとき読み返す本に藤堂昌恒氏の『覚悟力』という本があります。
この本ではプロフェッショナルとは何か?ということについて、自分の強みと思える分野をみつけ、積み重ねをしていくのがプロフェッショナルであるとしています。
人はよく「量」より「質」を求めようとします。練習せずにうまくなりたいと思い、できるだけ手間も時間もかけずに要領よく習得しようと薄っぺらいノウハウ本に飛びついてしまいます。私もその一人だと思います。
しかし、この『覚悟力』という本はいろいろと学ぶところがあります。
自分の強みと思われる分野で地道に努力を重ねていけというような内容のことが書いてあります。
「積み重ね」とは数でいうと、100、500、1000、5000、10000そういった単位のもので、5回トライしたなどというレベルでは決してありません。つまり本を十冊読んだ、20回やってみたという世界ではなく、その程度ではないとしている。つまり表面的なことを舐めただけで血肉になっていないということです。
イチローが毎日バットを振るように、王や長嶋が人が見ていないところでどれほど素振りをしたかということなのだと思います。
『覚悟力』の中では、何年かかろうと構わないが、自分の専門分野の書籍なら200冊は読め!といっています。200冊です。
そして、質が上がると量がこなせるようになり、量がこなせるようになると質もあがっていく。この繰り返しで、徐々に人が真似のできないプロフェッショナルな世界へと入っていくというわけです。
『覚悟力』には、やってもやってもなかなか思うようにいかないという壁にぶちあたる時期もあるが、ここで飽きずに積み重ねることができなければそこには自分の才能がないと考えていいだろうと書いてある。アメリカの教育家である得るバード・ハバードの『天才とは、ただ、努力の継続をできる人のことをいう』という言葉を思い出してしまいます。
私は将棋が好きなのですが、ちょうどある年のクリスマスに「プロフェッショナル」というNHKの番組があり、その中でプロ棋士の羽生善治さんが才能について次のような言葉を残していました。
『才能とは、努力を継続できる力』将棋の世界では頂点を極めた羽生名人ですら、こんな言葉を残しているのである。
まさに、若干言葉は違っていますが、まさにハバードと同じ内容であり、エジソンの『才能とは1%のひらめきと99%の努力である』という有名な言葉も同じなんでしょう。
なんだやっぱり1%のひらめきがなきゃダメなのね。。。と思うところがあるが、この羽生名人の言葉にはなんとなく勇気づけられる言葉である。
もう一つ、大切だと思うことは、他の人の受け売りではなく自分の考えややり方をもつということと思います。
よく「他を真似しろ!」まずはモノマネからだ! という人がいます。 何もわからないウチはそれでいいと思います。物事を要領よく70点そこそこに仕上げるのであればそれでいいと思いますが、ある程度、知識や経験を積んだらそれは違ってくるのではないかと思いますし、そうでなければ自分なりの世界なり、自分のものというのはできてこないのだと思います。
もちろん他を見たり、意見を聞いたりすることは大切だろうが、それを鵜呑みにせず自分で考える習慣を身につけたいものです。場合によってはそれが自分なりの発想を生む妨げになる場合が往々にしてある。マニュアルレベルまではモノマネでもいいが、そこから先は誰が何と言おうと揺るがないくらいの自分の考えやアイデアを出さないまでも秘めておくことが大切なのかもしれません。
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