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パイは小さな秘密を運ぶ

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パイは小さな秘密を運ぶ (創元推理文庫)

パイは小さな秘密を運ぶ (創元推理文庫)

  • 作者: アラン・ブラッドリー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/11/20
  • メディア: 文庫
<裏表紙あらすじ> 11歳のあたしは、イギリスの片田舎で、化学実験に熱中する日々をすごしてる。ある日、何者かがコシギの死体をキッチンの戸口に置いていき、父が尋常ではない恐れを見せた。そして翌日の早朝、あたしは畑で赤毛の男の死に立ち会ってしまう。男は前日の晩に、父と書斎で口論していた相手だった……。活溌な少女の活躍を温かくのびやかな筆致で描く、CWAデビュー・ダガー受賞作。 帯に 「快挙達成! 9冠 ミステリ界を席巻!!」 とありまして、 CWA賞、アガサ賞、アーサー・エリス賞、マカヴィティ賞、バリー賞、ディリス賞、スポテッド・オウル賞、アップルiTunes賞、インディゴ・ブックセラーズ・チョイス賞 と列挙されています。後半4つはまったく知らない賞ですが、前半5つだけでもすごいですね。 化学と毒物をこよなく愛する少女、性格も可愛げがないところが可愛い、という主人公の設定がおもしろいですし、あらすじも、ありふれた感(親の秘密を探る子供、というのはミステリでは定番中の定番です)はあるものの、手堅そうで(いかにもCWA賞っぽい!?)いい感じがしていました。 なんですが、読んだ感想は、ちょっと期待外れ。 なんというのか、いかにも「ここはおもしろがるところですよ」「ほら、ほら、これおもしろいでしょう?」といいたげなところがあちこちで目立っていて、得意気な作者の顔が透けて見えるというか、乗り切れませんでした。少女の視点で描かれるとはいえ、作者は七十歳だったということですから、それが理由かな? 原書で読めば印象が変わるでしょうか? --原書で読む語学力はないですけど... ただ、これはあくまで個人的な受け止め、というか感覚の問題でして、ミステリとしての段取りは、本当に手堅いです。化学好きという設定もきちんと生かされています。ウェルメイドな本格ミステリです。 P.S. CWA賞のデビュー・ダガーというのは、訳者あとがきによると、未発表の作品の冒頭三千語程度にあらすじを添えて応募する賞らしく、完成品に与えられるものではないのですね。なーんだ、とちょっと失礼な感想を抱いてしまいました。

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