「ニセ科学を10倍楽しむ本」山本 弘
世にあふれるニセ科学を会話形式でばっさり
中学生たちの会話から、ゲーム脳に血液型占い、
アポロや911陰謀説まで、世の中にあふれるニセ科学への鋭い視線を。
騙されないための情報リテラシー。 中学生向けくらいの、会話形式で軽く読める「ニセ科学」批判本。 著者は、トンデモ本を愛する趣味の団体・と学会会長。 SF作家とのことですが、残念ながら著作を読んだことはありません。 と学会自体は、菜の花も身近に会員がいました。 研究室時代、隣に座っていた助手さんが会員だったので。 まあ、あのノリなんだろうなあ、と思っていましたが、 本を読んでも、大体このノリだ、と納得な感じです。 というわけで多分、「と学会」らしい本。 登場人物は中学生の夕帆ちゃんに、 作家であってニセ科学を論破しようとてぐすね引いているパパ、 それからママ、友人の勇馬くん、青葉ちゃん、流菜ちゃんなど。 彼らの会話形式で全編が進みます。 取り上げているのは「水からの伝言」「ゲーム脳」 「買ってはいけない」「血液型性格占い」「動物や雲による地震予知」 「2012年人類滅亡」「アポロ陰謀説」などが独立章、 その他「マイナスイオン」「ゲルマニウムとトルマリン」 「永久機関、フリーエネルギー」「ホメオパシー」 「相対性理論は間違っている」「911自作自演説」 「インテリジェント・デザイン」等々。 盛り沢山、でもどれも結構有名なニセ科学ばかりずらり。 普段「あれはあんまりだ」と思っているものへ、 しっかり批判的視線を向けてもらえて、ちょっとほっとするかも? この手の、ある意見への筋の通った対抗意見は好きです。 もちろん、荒唐無稽だったり、感情論の批判は嫌な気分になりますが、 きちんとした理屈のあるディスカッションは面白いもの。 残念ながら、「ニセ科学」の見分け方のひとつに、 「訂正・修正を殆どしない、自説の矛盾をつく意見は検討せずに無視・抹殺してしまう」 というものがあるので、双方向にはならないのですけれども。 新たな情報を見かけたら、なるべく多くの意見を吟味する 「情報リテラシー」が重要だとあらためて感じさせられます。 批判する側される側、どちらがより正しく見えるかを判断するのは自分なのですから。 エピローグの中でも掲げられている「ニセ科学にひっかからないための十か条」で 「正しい科学知識を身につける」とありますが、これは基礎として重要。 でも、ちゃんとした科学者でも分野外にしゃしゃり出て、 ニセ科学を唱えだすこともありますからね…、 必要条件ではあっても十分条件ではないと心得て、 常に吟味し続け、批判や反論も真摯に受け止めて 考え方の更新をしていけるような柔軟な頭脳を保ちたいものです。 --------------- 文章・展開 : ★★★★ 簡 潔 性 : ★★★★★ 学 術 性 : ★★★ 独 自 性 : ★★★+ 読 後 感 : ★★★★ ---------------
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読了日:2013.07.20
分 類:一般書
ページ:327P
価 格:1900円
発行日:2010年3月発行
出版社:楽工社
評 定:★★★★
●作品データ●
---------------
テーマ : ニセ科学
語り口 : 会話形式
ジャンル: 一般書
対 象 : 小中学生~一般向け
雰囲気 : 易しい
ブックデザイン: 守先正、山原望
イラスト : 2号
---------------
【100字紹介】
と学会会長がおくる、科学を装った「ニセ科学」の易しい入門。Clik here to view.

- 作者: 山本 弘
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2010/03
- メディア: 単行本
中学生たちの会話から、ゲーム脳に血液型占い、
アポロや911陰謀説まで、世の中にあふれるニセ科学への鋭い視線を。
騙されないための情報リテラシー。 中学生向けくらいの、会話形式で軽く読める「ニセ科学」批判本。 著者は、トンデモ本を愛する趣味の団体・と学会会長。 SF作家とのことですが、残念ながら著作を読んだことはありません。 と学会自体は、菜の花も身近に会員がいました。 研究室時代、隣に座っていた助手さんが会員だったので。 まあ、あのノリなんだろうなあ、と思っていましたが、 本を読んでも、大体このノリだ、と納得な感じです。 というわけで多分、「と学会」らしい本。 登場人物は中学生の夕帆ちゃんに、 作家であってニセ科学を論破しようとてぐすね引いているパパ、 それからママ、友人の勇馬くん、青葉ちゃん、流菜ちゃんなど。 彼らの会話形式で全編が進みます。 取り上げているのは「水からの伝言」「ゲーム脳」 「買ってはいけない」「血液型性格占い」「動物や雲による地震予知」 「2012年人類滅亡」「アポロ陰謀説」などが独立章、 その他「マイナスイオン」「ゲルマニウムとトルマリン」 「永久機関、フリーエネルギー」「ホメオパシー」 「相対性理論は間違っている」「911自作自演説」 「インテリジェント・デザイン」等々。 盛り沢山、でもどれも結構有名なニセ科学ばかりずらり。 普段「あれはあんまりだ」と思っているものへ、 しっかり批判的視線を向けてもらえて、ちょっとほっとするかも? この手の、ある意見への筋の通った対抗意見は好きです。 もちろん、荒唐無稽だったり、感情論の批判は嫌な気分になりますが、 きちんとした理屈のあるディスカッションは面白いもの。 残念ながら、「ニセ科学」の見分け方のひとつに、 「訂正・修正を殆どしない、自説の矛盾をつく意見は検討せずに無視・抹殺してしまう」 というものがあるので、双方向にはならないのですけれども。 新たな情報を見かけたら、なるべく多くの意見を吟味する 「情報リテラシー」が重要だとあらためて感じさせられます。 批判する側される側、どちらがより正しく見えるかを判断するのは自分なのですから。 エピローグの中でも掲げられている「ニセ科学にひっかからないための十か条」で 「正しい科学知識を身につける」とありますが、これは基礎として重要。 でも、ちゃんとした科学者でも分野外にしゃしゃり出て、 ニセ科学を唱えだすこともありますからね…、 必要条件ではあっても十分条件ではないと心得て、 常に吟味し続け、批判や反論も真摯に受け止めて 考え方の更新をしていけるような柔軟な頭脳を保ちたいものです。 --------------- 文章・展開 : ★★★★ 簡 潔 性 : ★★★★★ 学 術 性 : ★★★ 独 自 性 : ★★★+ 読 後 感 : ★★★★ ---------------