綾辻行人さんの「Another エピソードS」を読みました。
ー1998年。夜見山北中学校で「災厄」が続いている夏に、見崎鳴は両親と共に海辺の別荘へとやって来た。そこで出会ったのはかつて鳴と同じように「災厄」を経験したという青年、賢木晃也だった。しかし、彼はその年の五月、26歳の誕生日に自宅である屋敷の吹き抜けから転落して死んだという。死を隠蔽された彼は、己の死体を見つけ出し自分が死んだことを確信したいのだという。彼の姿が見えるという鳴は、彼と共に彼の死の真相を探り始めるー
「Another」本編で、鳴が1週間ほど姿を消すシーンがありますが、この「エピソードS」はその1週間の間に鳴の身に起こった出来事を書いた外伝です。あれよあれよと人が死んでいく本編とは違い、こちらはホラーというよりミステリ。幽霊と名乗ったもう一人の「サカキ」の死体探しと、「災厄」を回避する方法探しが展開しています。語り手が幽霊なので鳴視点とはいえませんが、真夏の湖畔と洋館という舞台も相まって、どんどん物語に引き込まれて行きます。途中まで「Another」とあまり関係ないのでは?と思ってしまいますが、幽霊の正体が明らかになり、ラスト数行で背筋がぞわぞわっときました。あとがきによれば、著者はさらなる続編の構想を持っている様子。このラストから続く「Another」が是非読みたいです。この物語の鳴ちゃんは、本編より年相応な表情を見せていてなかなか可愛いです。
【Amazon.co.jp限定特典付き】Another エピソード S (単行本)
- 作者: 綾辻 行人
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/07/31
- メディア: 単行本