評価:★★★
QEDシリーズも16冊目かな。次の1冊で完結のはず。
今回のテーマは諏訪の御柱祭。
TVのニュースでもよく出てくる、
大木にたくさんの男たちが群がって、坂の上から転がり落ちてくる、
という命知らずのお祭り。
この祭りの意味から始まり、
諏訪大社にまつわる「記紀」の時代からの謎に崇が迫るのは毎度の通り。
で、これに現代の殺人事件が絡んでくるのも毎度の通りなんだが
このシリーズ16冊目にして気がついた。
ミステリとは言っても「殺人事件」がメインではないんだね。
あくまで「歴史の謎解き」が主で「事件」がおまけなんだ。
今回の殺人事件も、動機はともかく、現場に「見立て」を残す心理は
やっぱり普通の感覚では理解できないと思う。
ミステリの解決としては納得できないんだけど、まあ「おまけ」と思えば・・・
肝心の歴史にまつわる話は、いつもながら絶好調。
よくまあこんなことまでよく知ってるなあって毎回感心する。
これでいて作者の学生時代は歴史専攻じゃないんだよね。
紹介を読むと薬学部。崇や奈々は薬剤師だから、
たぶん作者も薬剤師の勤務経験があるのだろう。
ということは歴史の知識は趣味で仕入れたのかねえ・・・
下手に日本史を専攻した人間よりよっぽど博識そうだ。