さわやかです。夏に読むのにぴったり。
瀬戸内海に浮かぶ島に育った4人の幼馴染。
彼らの周りで起きるさまざまな出来事が
描かれています。
自分の立場を理解して
やるべきことをきちんと引き受ける
衣花は毅然として前を向いてます。
すてきな女の子です。
幼馴染の4人は再び島に集合しそうですね。
辻村深月はうまいので
清々しい物語もさらりと書いてしまう。
しかし、過去の作品を読んでファンになった
わたしのような人間にはやさしすぎて物足りない。
持ち味が生かしきれてないような気がする。
この作家さんだったら4人の高校生の内面に
もっと深く切り込んでいけたのではないのかな。
「島」の問題に力点を置いたから、
人物描写はさらっとした感じにおさえたのでしょうか。
幅広い読者にアピールするために
口あたりのいい物語に仕上げたのかな
などと不満げにつぶやくなんて
まるで応援していたバンドがメジャーになって
なんだか遠くにいってしまったようで
寂しく感じる古参のファンの言葉みたいだわと
思わず苦笑する次第でございます。
ましてや私は「古参」でもないのにね。
スイマセン
先入観なしに読めば
とてもよくできた青春小説だと思います。
以下、未読の方はご注意を
『スロウハイツの神様』が大好きなので
彼女の登場のインパクトに目を奪われて
物語のバランスが崩れたように感じてしまった。
お会いできてうれしかったけれど。
「飯館村」が彼の故郷となっていたので
いつかきっとどこかで触れてくれるのではないかと
思っていましたが、この作品だったのですね。
ふたりの関係が変わらないものであることが
窺えてあたたかい気持ちになりました。
よかった。