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長い廊下がある家

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限界集落を調べていた火村ゼミの学生が 偶然「幽霊の出る家」に迷い込んでしまう。 そこで三人の男女と出会う。 そして殺人事件が・・・ 犯罪が行われたのは「長い廊下」の先にある西側の家と 東側の家を繋げる廊下中央の扉、しかも鍵のかかった西側で。 容疑者には絶対のアリバイ、トリックに火村が挑む。 私個人の感想ですが、有栖川有栖さんは、 質量ともに抜群の安定感を誇る、新ミステリ界の第一人者と言っても 良いと思います。 本書も抜群の安定感。 表題作はある「発想の転換」によって真相を看破する火村の 推理が見事。 意外にも作家アリスのある発想がきっかけに(苦笑 そして本書では作家アリスと火村個人がそれぞれ活躍(?)する 作品が登場。 「天空の眼」ではアリスが火村抜きで推理を展開。 インターネットによりいかに世の中が便利になったのかを 意外なところで見せつけられる一編でもあります。 (アリスがネットで「あるモノ」を使うんですよね。) そして「ロジカル・デスゲーム」。 かつて火村の命が危なかった作品といえば「201号室の災厄」以来 だと思いますが、本作はまさに「デスゲーム」 コップ3つの中に一人の致死量である青酸カリを入れ、 それを犯人と火村が飲み合う。 一度だけ変更がきく、という心理をゆさぶるルールもあり、 本当に火村絶体絶命の危機とも言うべき作品です。 しかし、火村・犯人双方を殺さない方法を瞬時に思いついた 火村にはさすがとしか言いようがありません。 有栖川ファンならずとも、本格ファンなら必読の一冊でしょう。 オススメです。

長い廊下がある家 (光文社文庫)

長い廊下がある家 (光文社文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/07/10
  • メディア: 文庫

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