アカ、アオ、シロ、クロ、そしてつくる。
高校時代、僕らは、仲間であり、同志だった。
大学進学時、つくるは、ひとり東京へ行き、
赤松、青海、白根、黒埜の4人は、
地元名古屋に留まった。
大学2年の夏休み、
すべてが、変わってしまった。
4人は、つくるを排除した。
理由は、わからなかった。
かたい絆で繋がっていると信じていた友人たちに、
切り捨てられた事実。
計り知れない悲しみと、苦しみが、
つくる全体を包み、周りは暗闇と化した。
死を考える程、つくるにとって衝撃的な出来事だった。
大人になった今、沙羅と出会った。
つくるの中にある暗闇を、解決する為に、
沙羅は、4人の友人たちに会うべきだと言う。
「記憶に蓋をする事は出来る。
でも歴史を隠すことはできない。」
色を持たない多崎つくるは、
自分は、空っぽな人間だと、悲観していた。
14年経った今、彼らに会うことで、
それぞれの想いを知り、
苦しんでいたのは、自分だけではない事を知る。
人間、誰の心も複雑であり、
わだかまりを抱えたまま、
日々、生活している。
ふとした瞬間、それが心の大半を占め、影を作る。
納得したい事は、納得すればいいし、
蒸し返したくなければ、そうすればいい。
誰もが、自分の色を持っている。
自信と勇気を持つ事で、
今を生きる道が開けてくる。
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