ぬるい水
ぬるい水を泳ぎ続けていた
突然
とぷんと深みに追い込まれ
溺れるようにあぶくばかり
頻繁に吐き出していた
胸に溜まる闇が支配し始めると
かえって遠くの透明さが輝き
どんな小さな事柄にも
ちくんと響き
美しさが沁みるのだ
しっとりと湿地帯を作り
やがて溢れる水しぶき
ゆるく泳いでいたぬるい水が
日常をないがしろにしていた
輝く乱反射眩しい光源
いたみは優しさを忘れない刺激物
冷たい水で目醒める息吹
最後のぬるい水が
ぽこんと空に浮かんできえた
※最近読んだ本:死神の浮力 伊坂幸太郎 文藝春秋 ・イギリスにナンセンス絵本や童話(マザーグースやリアやプーなど)という滑稽で魅力的な作品があるが、伊坂文学はそれに近いのかもしれない。だから、魅かれるのかな。
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ぬるい水
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