急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め―ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53 (角川SSC新書)
- 作者: 石田 修大
- 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
- 発売日: 2008/03
- メディア: 新書
戦後を代表する企業2社のOBの方に関する本を2冊。1冊めはソニーのOBの大曽根幸三さんのことを書いた、「急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め/石田修大」です。著者の石田さんが大曽根さんにインタビューをして本にまとめたのだそうです。
大曽根幸三さんは、1961年にソニー入社、1979年にそのウォークマン初号機を世に出します。井深さんが機内の不便さを解決しようと発想し、盛田さんが「絶対に売れる!」と思ったウォークマンを具現化したのは大曽根さんだったのです。その後大曽根さんは20年間ウォークマンの開発に携わった後、副社長、アイワ会長を歴任されています。
大曽根さんは現役時代から部下に対して斬新な言葉を残した方で有名です。「何でも半分できると信じろ」とか、「新しいアイディアは上司に内緒でやれ」とかですね。本のタイトルにもなった、「急ぎの仕事は忙しい奴に頼め」もここから来ています。ソニーがポータブル商品を開発するときに目標のサイズを示す木型存在すると言われていますが、それを考案したのはもちろん大曽根さんです(汗)。以前「GA(General Audio、ウォークマンのこと)10箇条」をご紹介したことがありますが、この本はそれの拡張版のような感じですね。
前述のとおりこの本は大曽根さんが直接話されたように書いてありますが、実際はインタビューによる構成になっているせいか、私は若干違和感を感じました。文中には最近のテクノロジーの話も例えとして出てきますけど、どうもしっくりとした感じがしません。やはり当時の時代背景をよく理解した上で読み進み必要があるように感じました。ただこれくらいはっきりと言って部下に仕事を任せて責任は自分がとってくれるような大物リーダーが最近見なくなったのも事実です。リーダーには分かりやすさが必要なことを示す好例なのかもしれません。
そんなことを考えていたら、少し前にはなりますが大曽根幸三さんのインタビュー記事をネットで見つけました。早速読み進んでみましたが、ご本人の言葉だけによりダイレクトに言葉が響いているように感じたのは私だけでしょうかね(笑)。
長老の彗意『大曽根幸三 その1【全4回】 盛田さんが「首」賭けた ウォークマン開発秘話』(東洋経済オンライン)
長老の彗意『大曽根幸三 その2【全4回】 技術は置き換えられる宿命 液晶テレビ以外に挑戦すべき』(東洋経済オンライン)