この本の著者は東大物理学科出身者で、数学的才能を持つばかりか、なお剣道6段の腕前である。しかも歌人ときている。私もこのような人が書く一般書、しかも観測が分からなくてはと挑戦したが,あえなく沈没した。
電波望遠鏡と聞くだけで門外漢であるばかりでなく、その内容にいたっては全くチンプンカンプンだ。かろうじて理解できたのは宇宙に関する知識は日進月歩だが、それでも大きな謎を秘めていることぐらいだ。おそらく宇宙の謎はノーベル賞の対象として、これからも人類のあくなき追求の的となるだろう。人間には私達の到底及ばない才能を持って生まれた人達がいるのだ。この著者がいなくては、地上の電波望遠鏡を組み合わせた口径3万㎞の仮想望遠鏡を作り上げて、「はるか」を見ることは出来なかったであろう。
また、「このギリギリの距離をシュバルツシルド半径と呼び、これは天体の質量に比例します」(p.58)とあるが、私の知識では、シュバルツシルド半径、天体の質量ははじめて聞く言葉であり、一体何を意味しているのか。天体の質量とは、どのようにして計測するのか。私には分からない。