評価:★★★☆
タイトル通り、「時を超えるラブ・ストーリー」を集めたアンソロジー。
日本の作品5編、海外から1編の計6作を収録している。
順番に一言ずつ書いてみよう。
「美亜へ送る真珠」(梶尾真治)
ちょっと日本SFに詳しい人に、
「日本で書かれた時間テーマの短編SFで、傑作を一つ挙げてくれ」と言えば、
おそらく非常に高い確率で名前が出てくるだろう作品。
初読はおそらく30年前くらいに徳間ノベルスで出た
「日本SF傑作選」だったと思う。
あと、何年か前にハヤカワ文庫から梶尾真治の傑作短編集が出て、
そのときにも読んでるはずだから、今回読んだのはたぶん三回目。
で・・・三回目にして私は、内容(描写)で一つ勘違いしていたことに気づいた。
とっても肝心なところだったんで、どこがそうだったのかは
恥ずかしくてとても書けないんだが・・・
いや、この作品は傑作です。改めてそう思いました(^_^;)
「エアハート嬢の到着」(恩田陸)
この短編、長編「ライオン・ハート」の冒頭部分に当たるんだけど、
長編の方はなぜか冒頭の数ページでくじけてしまったんだよね。
で、このアンソロジーで「エアハート嬢の到着」を読んだんだけど
けっこう面白そうじゃん、これ。
もう一度、長編のほうにチャレンジしてみようかなと思ってる。
「Calling You」(乙一)
乙一って、デビュー作しか読んでない。
で、その影響か、てっきりホラー作家だとばかり思ってた。
こんな詩情あふれるロマンチックな話も書けるんだねえ。
編者は「短編の名手」って紹介してるので、他の作品も読んでみたくなったよ。
「眠り姫」(貴子潤一郎)
いやあ、これは切ない。切なすぎる。
編者は「美亜へ送る真珠」への"アンサーソング"的作品って紹介してるけど。
どっちかっていうとこちらの方が救いがなさそうな気がする。
「浦島さん」(太宰治)
すみません、私この話が全く分かりませんでした。
このアンソロジーに入ってる理由は何となく分かりますが、そこまでです。
すみません、頭が悪くて。
「机の中のラブレター」(ジャック・フィニィ)
この作者の名前はよく聞くんだけど、今まで読んだことなかった。
さすがにこのアンソロジーのトリを務めるだけのことはある。
ラスト1ページの感動的な美しさ、そして切なさは、まさに絶品。