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親和力

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 「親和力」 ゲーテ作 柴田翔訳 (講談社文芸文庫)  中年の理想的な夫婦を中心に、四人が繰り広げる四角関係の恋愛小説です。  ゲーテ晩年の傑作で、深遠な内容を含んでいます。  この傑作が、文庫では講談社文芸文庫からしか出ていません。  訳は予想以上に分りやすくて、内容的にも実に面白かったです。

親和力 (講談社文芸文庫)

親和力 (講談社文芸文庫)

  • 作者: ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/11/10
  • メディア: 文庫
 物語の主人公は、富裕な男爵エードゥアルトと、その妻シャルロッテです。  お互いにとても愛し合っていて、落ち着いた静かな生活を営んでいます。  そこへ、夫エードゥアルトの親友の大尉が、迎えられました。  また、妻シャルロッテの姪オッティーリも、呼び寄せられました。  四人で、共同生活をしていくうちに・・・  この作品は、あまり日本では知られていないと思います。  実際、翻訳も少ないです。  しかし、予想以上に面白い物語でした。結末も劇的でした。  私的には、「ウェルテル」や「マイスター」以上に良かったです。  ところで「親和力」とは当時の科学用語で、物質と物質が結合する力のこと。  第一部の第四章で、詳しく考察されています。  例えば、「物質AB」と「物質CD」がぶつかり、A・B・C・Dに分かれる。  その後、親和力が働いて、「物質AD」と「物質BC」に、再結合されます。  このことは、人間関係にも言えます。  「エードゥアルト+シャルロッテ」の夫婦に、他の二人が合流したら?  気の合う男同士・女同士が引き合って、夫婦生活を乱すのではないか。  「エードゥアルト+大尉」対「シャルロッテ+その姪」という具合に。  しかし、事態はまったく予想外の方向へ進展していきます。  四人はそれぞれの考えに従って、事態を打開しようとしますが・・・  そして、赤ん坊に現れた不思議な刻印の意味は?  また、途中で挿入される奇譚の表す意味は?  様々な謎とともに、物語は悲劇的な結末へ、静かに進んでいきます。  (これらの謎の答えは、訳者解説で充分に示唆されています。)  ところで私は、めったなことでは講談社文芸文庫を買いません。  理由は、値段が高すぎるから。  だいたい適正価格の倍ぐらいという印象です。(あくまで個人的印象)  「親和力」は、450ページほどで、1575円でした。  もちろん、この本を買って損したとは、まったく思いません。  しかし、せめて1000円を切ってくれたら、もっと人に勧めやすいのですが。  あの、のっぺらぼうのような表紙も、私はあまり気に入りません。  しかも、日焼けをすると変色が目立つのです。  ちなみに、講談社文芸文庫で紹介した本は、他では読めないものばかりです。  「ロード・ジム」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-21  「焼け跡のイエス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-20  「暗い絵」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-21  「桜島」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-30  さいごに。(セミ取り)  100均で買った虫取り網を持って、娘と公園にセミ取り出かけました。  まさか、娘に捕まるようなセミはいないだろうと、思ったのですが・・・  なんと、娘は二匹捕まえました。セミは油断していたのか、愚かだったのか。  捕まえたくせに、娘はセミを怖がっているので、すぐに逃がしてあげました。

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