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鷺と雪

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鷺と雪 (文春文庫)

鷺と雪 (文春文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

昭和初期の東京を舞台に、良家のお嬢さん・花村英子と、
そのお付きの運転手・ベッキーさんこと別宮みつ子。
この二人の周囲で起こる日常の謎系ミステリ第三弾にして完結編。

なんと北村薫はこの作品で直木賞を獲ってしまった。
ということは、これからこの作品は
「代表作」に数えられるようになるんだろうなあ。

今回も短編三話という構成なんだが、三話めが表題作にして最終作になる。

ヒロイン英子が淡い思いを寄せる若月少尉が出てくる話になるだろう、とか
彼らの生きていた年代、そしてなにより「鷺と雪」、というタイトルを考えれば、
最終話は「あの話」になるんだろうなあ、という予想は早々とついたんだけど。

巻末の解説を読むと、作者は当時の資料に載っていた「ある事実」から
この作品の構想を得たらしい。と言うことは、最終話のあのシーンだね。

そこからこれだけの物語を紡ぎ出してしまうとは、
作家の想像力というのはつくづくすごいもんだ。

おそらく続編が書かれることはないんだろうけど、
英子やベッキーさんの「その後」が知りたいなあ。

これから時代は「太平洋戦争」を迎える。
彼女らが無事生き残るかどうかさえ分からないが
生きていれば、終戦時に英子はまだ20代半ばのはず。

英子が生きていく環境はおそらく激変するはずだが、
彼女ならたくましく生き抜いて行きそうな気もする。


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