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『カネを積まれても使いたくない日本語』というものはあるか

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内館牧子著『カネを積まれても使いたくない日本語』というタイトルの本が出ているようだ。読んだわけではないのでナンだが、おそらくは日本語の誤用を厳しく糾弾する本で、たぶん編集者あたりが「センセイ、やっぱ書名もインパクトないと駄目なんで『カネを積まれても…』みたいなのにしましょうヤ」と押し切ってこんなタイトルをつけてしまったものだろう。 事情はワカル。が、やっぱり下品な書名ではある。 「日本語をどう使うか」なんていうのはカネをもらえるからとかナンとかいう話とはそもそも関係がない。ある用法が、その人の言語感覚に照らして「オカシイ」とか「奇妙」とか「醜い」とかそういう理由があれば避けるし、そうでなければ使う。それだけの話。 しかるにこういう下品なタイトルをつけてしまうと、「おぉそうかそうか内館サンという人はひょっとしたら基本的にカネで動くタイプの人なので、こういう発想をしてしまうんだろうネ」と邪推されるのではないか。でもたぶん内館サンはそんな人ではないだろう。版元は朝日新聞出版のようだが、やっぱり三流出版社のようなアコギなマネをしてはいけなかったのである。 いや、しかしちょっと待てよ。 さっき、たまたま月刊誌の『潮』を開いていたんだが、この雑誌の座談会とか寄稿にはよく公明党の話がでてきて、一流の学者とか評論家のセンセイが「自民党の暴走をおしとどめるためにも、連立与党の公明党の役割は重要である」みたいなことを言うくだりが必ず出てくる。それもほぼ毎号、お約束のように。 皆さんご承知のように、この雑誌は創価学会系の潮出版社が出している。巷間伝えられるところでは原稿料とか対談謝礼とか、かなりお高いという。つまりナンだ、この雑誌に登場するエライ先生方は、ある意味、言葉遣いみたいなレベルとはまたちょっと違うけれども、「カネを積まれて」勧進元のキタイする「日本語」を語ってくれていると言えないこともないんではないか。 もちろん「自民党の暴走をおしとどめるためにも、連立与党の公明党の役割は重要である」というのは基本的に正論であるから、識者の皆さんも別にカネを積まれて節を曲げて思ってもいないことを語ってるワケではないンだろうが、ま、少なくともそういうところに阿吽の呼吸というものがあるのは確かだ。 で、話はもとに戻るんだが、ひょっとしたら『カネを積まれても使いたくない日本語』という本も、正しい言葉遣いみたいな話だけではなくて、その辺の言論・出版界の機微にまでツッコミを入れているのであろうか? それであればここでいろいろ書いたコトも全部的外れになってしまうので謝らねばならないのだが。さて、どうなのでしょう?
カネを積まれても使いたくない日本語 (朝日新書)

カネを積まれても使いたくない日本語 (朝日新書)

  • 作者: 内館牧子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/07/12
  • メディア: 新書

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