読み始めはよくある赤字会社の再生物語かと思いました。赤字会社につきもののやる気の失せた社員の中に。なぜか元気だけはある主人公が登場し、仲間を巻き込みながら会社が再生していくというお話です。本書では、新幹線のカリスマアテンダントのお姉さんが社長に抜擢され、会社再生に向けて驀進するというストーリー。第三セクターの会社が舞台ということもあり、県庁や地元自治体の人間も絡んで、ただでさえ障害が多いのに、役所の論理なども手伝って、再生の道は厳しいものになりそう、という雰囲気がありました。
ただ、さすが「小役人シリーズ」で一世を風靡した新保さんは一味違いましたね。もう1人の主人公である県庁からの出向者である副社長が、会社の再生を妨害する影の巨悪と戦うというもう一つのストーリーがありました。
このくだりになって、がぜん面白さが増しました。
最近の新保さんは歴史小説もお書きになっているようですが、「小役人」的な面白さには少し及ばないような気がしております。
やはり、小役人的主人公活躍するのが新保さんの真骨頂!同じテイストだとは思いますが、是非、「デパートへ行こう!」も読みたくなりました。