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【書評】年刊日本SF傑作選『さよならの儀式』

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本作は2013年版です。
さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/06/28
  • メディア: 文庫
今回も盛りだくさんで16本の競演となったわけですが、個人的に最も印象に残ったのは漫画枠として収録された田中雄一『箱庭の巨獣』です。 凶悪な巨獣が地上を支配している地球上で、人間は麒麟と呼ばれる巨獣が守る巣で生活している。その麒麟は、人間が幼獣と合成して生み出されます。 かなり異様な設定でありながら、切ない人間ドラマが展開されます。好みの問題もありますが、間違いなくぼくが求めているSFです。 次に面白かったのが、大ベテラン筒井康隆の『科学探偵帆村』です。本作は海野十三のトリビュート作品ですが、筒井康隆ワールド全開というか、科学探偵と銘打っておきながらまったく科学的でないオチが素敵すぎます。 そういえば、この系統のSF短編は最近あまり見ない気がします。たぶん、話題性に欠けるので、目指す人がいないのでしょう。 あとは表題作となっている宮部みゆき『さよならの儀式』も、人気作家らしい筆の運びで、だれでもが作品世界に入り込めるSFに仕上がっています。 巻末に「また来年、八冊目の、《年刊日本SF傑作選》でお会いしましょう」とあるので、今回は売り上げに関係なく2014年版もでるのでしょう。 けど、あまりに売り上げが悪いと中止されるかもしれませんので、少しこわごわです。

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