「東京のおキツネさん」
監修者:竹内敏信
著者:平川正枝
発行:出版芸術社
平川正枝(ひらかわまさえ)氏の作品。
1944年2月千葉県・大原町に生まれる。
1952年8月小学校三年の時、東京・江東区へ引越し。
1962年4月東京都へ勤務。主税局職員として税務の仕事に携わる。
1996年5月現代写真研究所(四谷三丁目)・第23期の研究生となり、本科・研究科と写真を学ぶ。
2000年3月38年間勤めた東京都を退職する。
2000年5月現代写真研究所・竹内敏信氏に師事。今日に至る。
2000年6月視点展「きつね」特選入賞。
2001年4月葛飾光影クラブに所属、(モノクロ写真のクラブとして毎年作品展)。
2003年6月個展「おきつねさん」~江戸の稲荷信仰~/フォトスペース光陽1
神社仏閣や教会などがあれば立ち寄り、お参りしたり、建物や庭などを見て回ることも多いが、お稲荷さんは避けていたような気がする。
子供の頃、誰かに「お稲荷さんをお参りしたら毎日行かなくては駄目だよ」と言われた記憶があるからである。
普段は忘れているが、お稲荷さんを見ると条件反射で「毎日いかなくては・・・」と思い出していたのかもしれない。
俳人の鈴木真砂女が、信心とは関係なく、ご自身のお店(小料理屋)のあった銀座並木通り一丁目のお稲荷さんに毎晩10円の賽銭とお参りを欠かさず30年以上続けた、という話をどこかで聞いたことがある。
本書は、東京にある「おきつねさん」の白黒写真を中心に据え、稲荷信仰のお祭り、歴史のことなどが書かれた写真集のようなものである。
東京の稲荷神社は1400カ所にものぼるといわれ、その一部の個性豊かなおキツネさんを紹介されている。
子供を抱き寄せている狐、首が無くなってしまった狐、首の補修後と思われる箇所が痛々しい狐、尻尾が太く優雅な狐、金網に閉じ込められた狐など、様々な経緯があることを思わせる写真が並んでいる。
最近、仕事で毎週通る道に柵に閉ざされたお稲荷さんがあることに気づき、挨拶を始めた。
賽銭を入れるものなど何も無いが、綺麗に管理されている。
あまり人通りの多い場所ではないが、お参りをする人もおり、日によっては数人の列ができる。
若い綺麗な女性もよく見かける。
俳句を置かせて頂く。
路地住みの終生木枯きくもよし 鈴木真砂女
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