■ヒトコト感想
作者のエッセイは面白い。「ザ・万遊記」では、あるテーマに沿ったエッセイが描かれていた。本作は雑多なエッセイだが、作者の人となりがよくわかり、ファンにはたまらないだろう。印象的なのは、作者は学生時代、頻繁に海外へ貧乏旅行に行っていたということだ。
作家の印象はといえば、インドアで一年中部屋にこもってカリカリ文章を書いているというイメージだが、フットサルが趣味だったり、意外とアクティブなことに驚いた。貧乏旅行では、まるで「深夜特急」のように様々なアクシデントに出会う。小説作品からは感じない、作者のたくましさのようなものすら見えてくる。本作を読むことで、作者のイメージがだいぶ変わってきたのは確かだ。
■ストーリー
少年時代に大阪で阿呆の薫陶を受け、大学時代に自分探しの旅先で全財産を失い、はては作家目指して単身東京へ。ホルモーでついに無職を脱するも「御器齧り」に苛まれ、噛みまくるラジオに執筆を阻まれ、謎の名曲を夢想する日常は相変わらず。そのすべてを飄々と綴った初エッセイ集。
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