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自己チュウにはわけがある―対人心理学で分かったこと
著者:斎藤 勇
文春新書
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<内容紹介>
あなたの隣には、何でも自分の思い通りにしようとする、困った人たちがいませんか。そして、また一方には、人が自分をどう思っているのか気になって仕方がない人たちがいます。もちろんどちらの生き方がいいとも言えません。でも、たった一度の人生です。どうしたらもっとラクに、楽しく生きることができるのかを考えましょう。簡単にできる27の心理学の実験があなたの「生きづらさ」の正体をつきとめ、「まったく新しい自分」にあなたを導きます。
いますよね~。何でも自分の思い通りにしようとする困った人たち。
まあ、私の隣にもいたりするんですけどもw
そんな自己チュウにはわけがあるのかなあ、ってこの本を読んでみたわけです。
で、わかったのは、自己チュウにわけがある・・・わけじゃない。
みんな自己チュウなんだって。
人間はそういうものだって。
ただ、ここで言う自己チュウってのは、自分のことを中心に考える人っていう意味であって、
何でも自分の思う通りにしようとする人って言う意味の自己チュウとは、少し違うのかな。
色んな心理学の実験や、著者の具体的な経験とかを交えながら、
とてもわかりやすく心理を解いていて、読みやすく面白かったです。
私としましては、
「公的自己意識」と「私的自己意識」の話や、「自己防衛比較理論」とか
自己評価を高く維持するために、「反射」と「比較」していることや、
セルフ・ハンディキャッピングの話や、
「ハロー効果」の話や、優越欲求の話
高モニター性格と低モニター性格の話
「ポッシブル・セルフ」の話
などなど、なるほどな~と思ったことが色々ありました。はい。
もうちょっと詳しく書いときましょか?
せっかく読んだのだから、忘れないようにw
~*~*~
自分のことばかり考える人のことを自意識が高いと言うが、
自己意識の高い人と低い人がいる。
自分にばかり意識が集中すると、完璧でありたいという理想とのギャップに苦しみ、
心理的に不健康になりかねない。
ところが、人間はそんな不快な自己意識から逃げる。
自己意識が高く、自己評価の低い人は特に、お酒に逃げて忘れたり、耳を塞いだり。
失敗した時、自己意識は高まるが、
気分転換のできない人、いつまでも失敗した時の自己意識が戻らなく高いままの人は、抑うつ傾向である。
真面目すぎ頑張りすぎはよくない。
自己意識には、公的自己意識と私的自己意識がある。
公的自己意識は、人からどう見られているか気にする意識。
私的自己意識は、自分自身の基準で自分を見る意識。
私的自己意識が高いと、人から自己中だと思われるかも。
公的自己意識が高いと、人から嫌われないか気にするあまり緊張し、人づきあいがうまくいかないこともある。
エライ人や優秀な人に会うのはプラスであるはずなのに、避けようとするのは
自分がみじめになるから。「自己防衛比較理論」
できる人には会いたくないという心理。(自己評価の低い人は特に)
自尊心の維持。
だから、できる人は案外孤独。
自己評価は、変わらない部分と、ちょっとしたことで上がったり下がったりする部分がある。
優秀な人との人間関係は、ストレスと劣等感を生み、自己評価を下げる。
自分より下の人と比べて慢心しても進歩はない。が自己評価は上がり、進歩に必要な積極性は促される。
友情のなかの複雑な心理
自分にとって重要だと思ってることに対しては、自分の評価は高く、親友の評価は少し低くなるもの。
自分が関心のないことに対しては、親友の方ができると評価。
つまり、自分にとって大事なことでは親友に負けたくないし、親友ができることを素直に喜べない。
SEM理論(自己評価維持)
自己評価は周りの人との比較で決まる。
人はどうやって自己評価を高く維持しようとするのか?
「反射」・・・友人の威光や業績を借りて、自分を光らせ、その他大勢に対する自己評価をあげる。
出来の良い友人のことを話すときは、自尊心を満足させれる。
「比較」・・・出来の良い友人と比較することで、自己評価が下がる。劣等感ばかり刺激される。
セルフ・ハンディキャッピング
試験の前日テレビを見る=>試験ができなかった時の為に、自分の言い訳を作っておく。
本当はもっと成績が良いはずなのに。しょうがない。という言い訳。
人はみんな自己チュウ
あなたは家事をどのくらいやってますか?・・・・家族全員足すと100%をかなり上回る。
私はこんなにやってるのに・・・人がどれだけやってるかは見えてない。自分のことだけを見ている。
公平に判断しているつもりでも、自己中心的になっている。
さらには、自尊心を満たすため優位に立つ為に、自分を過大評価する。
客観的見方などありえない!
就職活動の面接で、バブル期の売り手市場の時は、大抵の人が内定をもらえるので、特に目立つ必要はなかった。
むしろ、目立つと落とされたりする。
しかし、受かる人が少ない場合、その他大勢では落とされる。目立った人が受かる。(真っ先に落とされることもあるが)
自信を持って異質な意見を言うといいかも。
場所で目立つ。試験官の正面の位置、試験官と目が合う位置がいい。
同じくらいの意見を言っていても、目が合う位置にいる人をリーダーだと思う心理。
無視されると、人はなぜ怒るのか
長電話を叱るのは、電話はそこにいない人と話すわけで、そこにいる人を無視することになる。
無視された人は愉快ではない。
叱っていい相手で、叱る正当そうな理由が見つかったとき、怒りがストレートに向かう。
自分を敬うべきだと思ってる人間に無視されると、自尊心が傷つけられ、腹立たしくなる。
男性は、人間の優劣に敏感。自分が上か下かを気にする。
自分を尊敬しているか不安。
無視されたのは、能力を認められず、尊敬もされていないことだと思うので、腹を立てる。
自己意識の高い人ほど、無視されたとき、その人に対して嫌悪感を持つ。
本当はただ話に夢中になってて、他の人に気を配れなかっただけかもしれないのに、
無視された、自分のことが嫌いだからだと勝手に思い込んでしまう。
みんなそれほど他人のことは気にしてない。無関心。みんなそれぞれ十分に自己チュウ。
ハロー効果 (後光効果)・・・一つの特徴や才能が素晴らしいと、それによって他の性格もよいと判断してしまう、歪んだ認知傾向
「男の先生はかわいい女の子ばかり合格させてしまう」
面接で人間性を見ているつもりだが、意識しないままかわいい子を合格させることになる。
人柄は見えないがルックスは見える。
ペアの女性が美人だと、周りの人の評価(印象)が良くなる。
彼女が美人であることの優越感。彼女だけでなく彼自身が高く評価され魅力があると思われる。(ただ嫉妬もされる。)
栄光欲
誰にでも優越欲求はある。
劣等感は優越欲求を持ってるから。
上には上がいるので、優越欲求は完全には満たされない。
直接自分が満たすのではなくて、間接的に満たそうとする。
同郷の有名タレントや政治家などを自慢するなど、人を好きなように利用する。
好きなチームが強い時は、一生懸命応援するけど、弱くなると見向きもしない。自己中。
セルフ・モニタリング
相手の反応を見ながら自分の行動をチェックし相手に対応すること
誰でも行っていることで、人間関係をスムーズにする。
要するに、相手に合わせた自己呈示
高モニター性格・・・その場の状況に応じて行動を決める (相手と場所によってかえる)
低モニター性格・・・自分の信条を優先して行動を決める (状況に影響されない)
どちらがいいかとは言えない。一長一短。ただどちらも度を超えると問題。
ホンネとタテマエのまかり通る日本は高モニター社会
だが、こういう言行不一致を非難、軽蔑し、信念の人(低モニター)の人を高く評価している。
モニターストレス
対人場面では高モニターなのだが、一歩離れると低モニターになる。
できたらあんな風に人と合わせたくなかったと、あとから疲れる。
世間の目は世間に合わないと厳しい。(空気を読めって)
が、低モニターを高く評価する(調子よく人に合わせる人は信用できない)<矛盾
優越感と劣等感
優秀で知的で強く完璧な人は魅力的。そういう人に好意を持つ。
が、完璧(で優越感を持ってる)な人が身近にいると不快。
自分が劣等感を持ってしまうから。
デキる人に対しては、常にプラスとマイナスの二重の気持ちを持つ。
デキる人は、完璧すぎるより、たまに失敗する方が魅力的。
人はみな、人に優越していると思うことが快く、好き。
人間関係は自己中心的な優越感が常に介在している。
下手な人とテニスをすると優越感を持てるが楽しくない。上手な人とやると負けてばかりで不愉快。
勝ったり負けたり6割7割勝てる相手がいい。
(が、相手は3割しか勝てないので愉快でない。)
偶然をコントロールできる錯覚
いろんなもっともらしい情報から、勘を確信してしまう。
自分で考えて選んだ数字は当たるという理由のない自信
(考えたんだから当たるんじゃないか。そういうスキルがあるという錯覚。心情的に当たる確率が上がる)
でも現実は確率は同じ。
ウツ状態の人の方が現実を見ている。
そんなコントロールの錯覚にはまってる人の方が幸せなのかも。
「可能性としての自分」を評価して生きている・・・<ポッシブル・セルフ>
可能性としての自分は、現実の自分よりもきっとよくなる と自分を肯定。
人の考えは自己チュウ
厳選してるつもりでも(知的に理由づけするが)、実は全く違った理由で選んでいたりする。
マイノリティへの偏見
一部の外国人が犯罪を起こすと、犯罪を起こすのは外国人だと思う。
一部の女性の運転が下手だと、女性は運転が下手だと思い込む。
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うひゃ。長くなっちゃいました。
とまあ、そんな感じで(どんな感じだ?)、みんな自己チュウなんだよって本でした。