「二重人格」 ドストエフスキー作 小沼文彦訳 (岩波文庫) ある小役人が自分の分身に翻弄され、狂気に陥っていく過程を描いた物語です。 「貧しき人々」に次いで発表された、ドストエフスキーの長編の第二作です。 岩波文庫から出ています。初版は1954年。2014年現在72刷。 訳は古く、活字は小さく、改行も少なくて、少し読みにくかったです。
9等官のゴリャートキンは、小心のくせにプライドは高い、小役人の典型です。 自分がうまく立ち回れないのは、周囲の「敵」たちのしわざだと考えています。 ある日、晩餐会を追い出された後、彼はもうひとりの自分を見かけました。 翌日、職場に行くと、自分 とそっくりで同姓同名の男がいて・・・ その男は何者か? その男はなぜ出現したのか? 様々な謎を残したまま、物語はずんずん進んでいきます。 とても面白くて、ワクワクしながら、いっきに読み終えました。 当時は不評で、半ば忘れられていた作品だとは、とうてい思えません。 タイトルは「二重人格」ですが、正確には「ドッペルゲンガー」です。 雰囲気は、ホフマンの怪奇小説に似ていると思いました。 どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。 知らず知らず、非日常の世界に引きずり込まれていきます。 この作品は、管理社会の重圧に押しつぶされる人間が、描かれているそうです。 どこか現代にも通じる狂気を感じました。 さて、ドッペルゲンガーといえば、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」が有名。 「黒猫」に収録→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-08 ナボコフの「絶望」も、ある意味で、分身が登場する作品です。 近日中に読んでみたいです。 ドストエフスキーの「貧しき人々」を、まだ読んでいませんでした。 古典新訳文庫から、新訳が出ているので、読みたいです。 さいごに。(ユニクロで当て逃げされました) 土曜日の午後、ユニクロに行きました。店内にいたのはわずか15分。 出てきたら、ミラジーノの前照灯横の部分が、大きくへこんでいました。 駐車場に防犯カメラは無く、目撃者も見つからず、どうにもなりません。 せめて、当て逃げした人が、今は後悔してくれているといいのですが。↧