「背守り 子どもの魔よけ」 著者:佐治ゆかり/夫馬佳代子/鳴海友子/三瓶清子 編集:住友和子編集室/村松寿満子 発行:LIXIL出版 野球少年であった。 小学生の高学年の頃から、試合で使用するユニホームや練習着のポケットの裏側の、外から見えない部分に刺繍を入れていた。 今思えば、結構物騒な言葉だったかもしれない。 制服の仕立て屋やスポーツ店などにお願いするのだが、かなり金額が掛かったと思う。 中学生になると、女の子にお願いして野球のボタンの縫い糸の色を変えて縫ってもらったりした。 要は士気を高め、良い結果を出すためや、つらい練習から逃げないための験担ぎだったかと思う。 本書は「背守り」についての書き物である。 背守りとは子供の着物の背中につけた、魔よけのお守りのことをいう。 日常的に着物を着ていた昭和戦前まで、全国で見られていたらしい。 病気や不慮の事故で子供が命を落とすことが今よりはるかに多かったため、母親や身内の者が思いをこめて縫い付けた手仕事であるという。 背縫いのない子供の着物に、わざわざ縫い目をつけた糸じるし。井戸や囲炉裏に落ちた時に、神様がその紐や布をつかんでくれるのを祈りつけたといわれる紐と小裂。 帯に下げられた守り袋、迷子札なども掲載されている。
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