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小説「悪い娘の悪戯」 マリオ・バルガス=リョサ

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林真理子さんが面白いと書いていたので、読んでみた初めての作家。南米ペルー出身のノーベル賞も取っている方だそうです。 1950年のペルー、リマの夏からこの小説は始まり、主人公の人生と共に、舞台はパリ、ロンドン、東京、マドリッドへと移ります。そして、主人公の永遠の恋人、ニーニャ・マラ(スペイン語で悪い娘)との40年に渡る壮大な恋愛歴史小説。 ニーニャ・マラは可愛い利発な少女から、ゲリラ兵、外交官夫人、大富豪の妻と、姿だけでなく、名前もパートナーも場所もころころ変え、忘れかけた頃に主人公の前に姿を現します。そして、翻弄されながらも、その魅力にあらがえない主人公。読んでいる側もはらはらして、主人公に同情したくなりますが、同時に、美しく憎めないチャーミングなニーニャ・マラの気持ちもわかるような気がします。 ペルーは正直未知の国。それに、少し前の現代ではあっても、よくは知らない当時の世界の政治情勢や文化、土地柄、いわば主人公達の人生を取り巻く背景についても確かな筆致で描かれています。それが、この小説を単なる恋愛小説ではなく面白くしている要素です。2人以外の登場人物も魅力的で小説に精彩を与えています。70歳を越える実力でしょうか。 主人公達の人生のほぼ全てを描いている終盤では、繰り返される邂逅と共に、かたちを変えてきた2人の関係に深い感慨を覚えます。 他の方のレビューに翻訳がよいとのコメントもありましたが、確かにそうなのかも知れません。比較的若いご夫婦の翻訳者の感性がバランスが良いのかも。男性側、女性側からの両方の視点ということもあるかもと思います。 たっぷりと濃い、小説らしい小説を最近読んでいないなと思っている方にお勧めです。夏の休暇にいかがでしょうか。

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