クレア・ベサント/著 三木直子/訳
出版社名 : 築地書館
出版年月 : 2014年9月
ISBNコード : 978-4-8067-1482-8
税込価格 : 2,160円
頁数・縦 : 250p・20cm
ネコとは、イヌやクマなどに比べて頭の悪い動物かと思っていた。臆病者で保守的で行動範囲もせまく、好奇心や冒険心に乏しい生き物だと思い込んでいた。
しかし、どうやらそうではないらしい。脳の大きさがおおむねその動物の頭の良さに比例すると考えられているが、ネコは、体の大きさに比べて脳の容量が大きいのだという。しかも、イルカや霊長類に匹敵するのだと。イヌよりも脳容量の体重比が高い。
また、あらゆることに対する適応能力が高く、記憶力も、理解力も優れているのだとか。一人暮らしの飼い主と、きちんとコミュニケーションがとれるペットなのである。だから人間は、ネコに飽きることなく、駆逐することもなく、何千年にもわたって共同生活を営んでこれたのだろう。それもネコの賢さゆえの勝利だったのかもしれない。
【目次】
1 違う世界
2 猫の言語
3 猫と暮らす
4 猫との関係
5 猫の性格
6 知能と訓練
7 問題解決法
【著者】
ベサント,クレア (Bessant, Claire)
イギリス、リーズ大学で動物生理学を専攻。猫に関して広範な情報を提供し、獣医が猫治療の専門知識を高めるための経済的支援を行う慈善団体、インターナショナル・キャットケアの最高責任者として、世界中の飼い猫や野良猫のための活動を行っている。獣医学の専門誌の編集に携わり、また多数の猫雑誌に寄稿する他、著作も数多い。
三木 直子 (ミキ ナオコ)
東京生まれ。国際基督教大学教養学部語学科卒業。外資系広告代理店のテレビコマーシャル・プロデューサーを経て、1997年に独立。海外のアーティストと日本の企業を結ぶコーディネーターとして活躍するかたわら、テレビ番組の企画、クリエイターのためのワークショップやスピリチュアル・ワークショップなどを手掛ける。
【抜書】
●白猫(p25)
白猫の中には、生まれつき耳が聞こえないものがいる。毛の色と関係した遺伝的な特徴である。
●ヤコブソン器官(p27)
ヤコブソン器官……鼻鋤骨器官。※鋤鼻器のこと。
味覚と嗅覚を組み合わせて「味わう」。
●臭腺(p36)
猫は、顎、唇、こめかみ、尻尾の付け根に臭腺がある。固有の油性分泌物が生成される。
●睡眠時間(p81)
〔 猫は世界一眠るのが好きで、1日の六〇パーセントは眠っている。つまり、ほとんどの哺乳動物の二倍の時間を眠って過ごすのである。〕
15時間を熟睡かウトウトして過ごす。毛づくろいと遊ぶのに6時間。残りは、獲物を追うか、食べるか、探検に費やす。
●猫に鈴(p93)
〔 猫を飼っている人のなかには、猫の首輪に鈴をつけて鳥やネズミに警告しようとする人がいるが、猫は、鈴が鳴らないように動く方法を編み出してしまうことが多い。それに、前述した待ち伏せ型戦略を使えば、どうせ手遅れになるまで鈴は鳴らない。〕
●ペックオーダー(p99)
犬は餌をがつがつと貪り食う。
野生の犬や狼の群れには、獲物を食べるときに争ってお互いを傷つけあることがないよう、ペックオーダーという序列がある。
まずは群れのリーダーが満腹になるまで食べる。それから他のメンバーが序列の順に、それぞれ満腹するまで食べる。
ペックオーダー……もともとは、群飼されるニワトリの個体間に見られる強弱の序列のこと。転じて集団で暮らす動物社会での個体の力関係全般を意味する。(訳注)
猫は、単独で狩りをするので、好きな時に好きなだけ食べる。
●家猫の起源(p108)
猫が人間と関係を持つようになったのは、おそらく古代エジプト。穀物やその他の食料の倉庫の周りで害獣を退治するのに役立つから。
猫は、遺伝子学上はアフリカヤマネコと変わらない。猫の見かけ上の違いは、世界中、人間が連れて行った先々でその環境に自分を適応させただけ。
犬は、遺伝子上、85%がオオカミ。
●知能(p156)
猫の脳の大きさは、体の大きさとの比較において、霊長類やイルカと同等。猫は、この2種を除いたすべての哺乳類より脳が大きい。
(2014/12/6)KG
〈この本の詳細〉
honto: http://honto.jp/netstore/pd-book_26350695.html
e-hon: http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033150523