すっかり更新が疎かになってしまいました。
暑いのと体調が本調子でなくておでかけもしていなくて・・・。
ようやく98%まで回復しました。(100%でないところが悲しいところです^^;)
出版されて楽しみにしていたこの本をようやく読むことができました。
「楽園のカンヴァス」ほど情熱的でもなく盛り上がりにも欠けますがそれでも心にしみる作品ではあります。
4編からなる物語。
「うつくしい墓」 はマティスの家の家政婦をしていた女性の思い出語り。
「エトワール」 はドガの友人だった女流画家のメアリー・カサットの視点から。
「タンギー爺さん」 はセザンヌに宛てた画材屋の娘からの書簡。
「ジヴェルニーの食卓」 はモネの助手をしていた義理の娘の視点から。
印象派の一時代を築いた4人の人と、なりを垣間見ることのできる小説です。
史実に基づいたフィクションとのことですが風景が目に浮かびます。
「うつくしい墓」
マティスの切り絵の作品を最近観たところだったのでとても親近感がありました。
「ロザリオ礼拝堂」のデザインを手がけたそうです。
どんな礼拝堂かと思ったらとても斬新で、でもマティスらしいステンドグラスだと思いました。
「エトワール」
踊子の絵を描き続けたドガ。
その思いは一途過ぎて私には感想すら文章にできません。
ドガの彫刻がこの小説の肝なんですがその作品を観たことがあって思わず「あ、あれのこと?」と思いました。
珍しいと思いましたがやはり1点しか発表していなかったことをこの本で知りこの作品に出会えたことは貴重な経験だったんですね。
買った絵葉書がありました。
「十四歳の小さな踊子」 1mくらいだったでしょうか。
発表時はリアル過ぎて?酷評されたそうです。
彫刻の作品を作る際に「試作(マケット)」を蝋で作るのだそうです。
ドガは小さい「試作(マケット)」をたくさん作っていたそうです。
小説の中ではその小さい「試作(マケット)」をモデル代わりにして絵を描いていたのではないか?とのことです。
蝋で作られた「十四歳の小さな踊子」はをドガの死後ブロンズ像に鋳造されていくつかの美術館で所蔵されているようです。
「タンギー爺さん」
画材屋というものの店主であるタンギー爺さんは若い画家たちに絵と交換に絵の具を渡していたそうです。
そのおかげで家族は苦しい生活を強いられました。
ゴッホに描いてもらった肖像画が残ってよかったですね。
「ジヴェルニーの食卓」
モネの庭は有名です。
モネの庭を維持するために庭師がいてやはり手を掛けていたのですね。
モネの身の回りのお世話をしたのは義理の娘さんだったとは知りませんでした。
その経緯も知ると睡蓮の絵もまた見方が変わってきます。
興味をもたれたら是非この本を読んでみてください。