Quantcast
Channel: So-net blog 共通テーマ 本
Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

サンクチュアリ

$
0
0

 「サンクチュアリ」 フォークナー作 加島祥造訳 (新潮文庫)  無実の罪で逮捕された男の悲劇と、彼の弁護人の絶望的な努力を描いた作品です。  作者自身が、「想像しうる限りの最も恐ろしい物語」を書いたと言いました。  新潮文庫から出ていますが、初版が1972年で、訳が少し古いです。  しかし、それほど読みにくくはありませんでした。

サンクチュアリ (新潮文庫)

サンクチュアリ (新潮文庫)

  • 作者: フォークナー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/06/01
  • メディア: 文庫
 弁護士ベンボウは、ある午後偶然、酒の密造人グッドウィンの屋敷に立ち寄りました。  そこには、ヤクザ者のポパイなど、怪しい男たちがいましたが、彼は無事帰されます。  数日後、大学生のカップルが車を横転させて、グッドウィンの屋敷にやってきました。  そして、そこで事件は起きるのです。  犯人として逮捕されたのは、グッドウィンでした。  弁護を買ってでたのはベンボウ。グッドウィンの無実を直感していましたが・・・  作者自身の言葉が一人歩きをして、残虐な物語というイメージが定着しています。  実は私も、そういうイメージを持っていたため、なかなか読む気になりませんでした。  ところが、実際に読んでみると、「正義の物語」という印象が強かったです。  絶望的な状況下で最善を尽くそうとする、弁護士ベンボウの「正義の物語」です。  「男というのはね、ときにはそれが正しいと知ったら、ただそれだけのために  何かをしようとするものなんだ、」(P362)  妻から逃げてきたような、ダメダメな男なのですが、やるときはやる。  監獄で三人で過ごす場面は、ほんとうにすばらしい。心を打たれます。  ベンボウの言葉の端から、彼自身は正義を信じていなかったような気がします。  正義を信じていなかったからこそ、あれだけ必死に戦おうとしたのではないか。  そして、結末は・・・やりきれません。  「それはないだろう!」と言いたい。  思うに、フォークナー自身も、正義を信じていなかったのではないか。  正義を信じていなかったからこそ、あのような結末に?  さいごに。(楽寿園)  家族3人で、三島の楽寿園に行き、紅葉を見ました。  とてもきれいでした。しかも、たまたま入園料タダの日でした。ラッキー。 DSCF1230-2.jpg DSCF1226-2.jpg

Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

Trending Articles